この暑い夏が終わると、
けんちゃんの誕生日がやってくる。


もう、
余計なお金を使わなくてもいい。

同時に、
プレゼントを選ぶ楽しみもなくしてしまった。






彼は
あれからずっと落ち込んでいる。

『僕はクソ野郎だ。人間のクズだ。』

ちょっと大げさ。



でもきっと、
そうさせているのは私自身。

そもそも私に それほど興味を持っていないのでは?


けんちゃんが大学で研究しているもの。
それを見ると彼は血が騒ぐ。
興奮する。

でも、私は興味がないし、
何が魅力なのかわかんない。
そこにあっても捨てちゃうと思う。


そういう温度差…






もしも、
もっと私が若かったら…

同世代の彼女がいたとしたら


けんちゃんも誕生日を忘れたりしないでしょう。




もう、
しばらくそっとしておこう。