けんちゃんの卒業式の日、
何ヶ月ぶりかにメールをした。
『卒業おめでとう!』
祝賀パーティーとかで返信どころじゃないだろうな……
諦めていたけれど、ちゃんと返信をくれた。
『何とか卒業することができました(^^)』
また〜 謙遜しちゃって。
けんちゃんなら余裕で卒業できたはず。
『けんちゃん』なんて、馴れ馴れしく呼んじゃダメね。
立派な博士だもん。
プレゼントを渡したいから、少し時間取れないかな?
って聞いたら、
送別会やらイベントで立て込んでて、予定が合わなかった。
すでに、マンションも引き払っているとか。
そっか…
『会えなくてすみません。
ねーさん、是非○○県に来てください!
ボク、案内しますよ(^^)
プレゼントはその時頂きます。』
『……えっ? ○○県に?』
『はい(^^)
美味しいお店もリサーチしておきます。
それに、研究のことでこちらにも来ることがありますし。』
社交辞令だってわかってる。
でも……
『わかった!
私 本当に行くからね(・∀・)』
『はい、来てください!』
けんちゃんのプレゼントをラッピングしてもらって店の外に出てから、
駐車場の車の中で号泣した。
何故泣きたくなったのかわからない。
これで本当に終わってしまった…
そう思ったのかも知れない。
『けんちゃん、本当にありがとう。
コーラばっかり飲んでちゃダメだよ。
体に気をつけて…』
『ありがとうございます。
もうアラサーですからね。
気をつけます(*^^*)』
出逢った頃、
二十歳そこそこの男の子だったあなたも、
もう来年は30歳なのね。
私も歳を取るはずだわ。
けんちゃんは、
今朝 この街から旅立った。