友人に届ける物があって、
ポストにでも入れといてくれていいよ!
そう言われたので、
今夜のうちに伺うことにした。
用を済ませて真っ直ぐ帰ればいいものを…
友人の家の少し先に、
通い慣れたマンションがある。
けんちゃんの住むマンションだ。
なんでそんな行動に出たのか、
自分でも不可解だと思う。
そう、
けんちゃんのマンションに行ってしまった。
もちろん会うつもりなどなかった。
きっと帰省してるだろう、
留守でありますように。
そんなことを思いながら、
下の駐車場で車を回してすぐに出てきた。
けんちゃんの部屋には灯りがついていて、
駐車スペースには、
彼の車じゃなく、見たことのない派手な色の新車が停まっていた。
彼女の車?
いや、どう見ても女の子の乗る車ではない。
けんちゃんはあんな色は好まないし、
代車にしては立派過ぎる。
レンタカーでもない。
年上の女性?
色んな妄想をしてたら、
吐き気がしてきた。
しばらくドキドキが止まらなくて、
いつもNさんと聴いてるラルクの曲に変えた。
ほら、
けんちゃんちに行ったりするからそうなるのよ。
いい歳した大人のすることじゃないわ。
なんか、
本当に情けなくなった。
こんなこと、やめよう。
Nさんとマメに会ってないと、
私 ろくなことしないな…
春になったら、
けんちゃんも遠くに行っちゃう。
もし…
もしも会いたくなっても会えないんだから、
諦めもつくだろう。
早く春になってくれないかなぁ。
春になったら、
Nさんとあちこちお花見に行くんだもん。
余計なことを考えなくていい。