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彼の、大切なひと

もうずいぶん前のこと。

Nさんとまだ友達だった頃だ。


たぶん
二人でご飯でも食べに行った時だと思うけど、

彼がポツリ ポツリと話してくれた。




かつて奥様だった女性が、
ガンを患っていたと。




別れてからも、
ちゃんと養育費も収めてサポートしていたNさん。


それだけでもじゅうぶんだと思ったけれど、

元奥様の治療費の援助もしたらしい。



私の場合だと、絶対あり得ないなぁ…




『すごい!
そんなことまでしてあげてるんだ(゜ロ゜)』


『そりゃあね、
相談されたらほっとくわけにいかないよ。
他にできることないし、
何かあったら子供たちが困るだろ。』




『優しいね。』



『フツーだよ。

でも、
ガンは本当に大変だし、
女性は特に色々気をつけないと。

ぷくぷくさんも ちゃんと検診受けなきゃダメだよ。』



いつもふざけ合ってたのに、
すごくマジメに話をされたのを覚えてる。



奥様とはもう夫婦じゃないけれど、

お子さんたちにとっては
『お父さん』と『お母さん』であって、

本当に困った時に相談されるって…



Nさんにとっても、
別れた奥様は大切な存在なんだろう。
じゃなきゃ、 助けたりしないよね。




時々、
このことを思い出す。



そこには、
私は入って行けないな…って。




そこを越えられるくらい、
大切だと思ってもらえるには


まだまだ努力が必要だな。



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