空港に向かう前に、
けんちゃんの部屋の中をチェックする。
ゴミ、コンセント、鍵…
ふたりで確認するのに、いつも何か忘れてるような気がするね。
きっと、
私を置いてくからだよ。
出掛ける前にお茶を飲んだ お揃いのマグカップは、
洗って丁寧に拭いて
食器棚に並べて置いてきた。
『忘れ物、ないね!』
そう言って、彼より先に靴を履いて玄関のロックを外そうとすると、
頭を引き寄せられた。
『けんちゃん、
口紅がついちゃう…』
カレンダーを眺めながら、
まだ一日しかたっていないことにガッカリしている。
もうすぐ、メールがくるかな…