話題:猫

捨てた翌日
やはりダメだった。

もう僕は一生猫好きとか言えない。
猫の話もできなくなる。

両親にはいろいろなものを奪われた。
または与えてもらえるはずのものが与えてもらえなかった。

それなのに
猫が好きっていう夫婦共通のものまで奪わられるなんて
とても耐えきれない。

猫を探しにいった。
見つからなかった。
捨てた場所さえ覚えていない。
家の近所のはずなのに。。。
みつからなかった。

次の日また探しにいった。
そうだ僕は農業倉庫の近くに捨てた。
猫ちゃんが寒くないようにと
藁が積んである農業倉庫の近くに捨てた。

その倉庫に行ってみた。
名前を呼んでみた。

おーーい!ねこちゃーーん!!

ガタッ

倉庫の裏で音がした。
裏は田んぼになっていたが
細いあぜ道を通って裏にまわってみる。

藁のなか。。。

イターーーーーーーーーーーーーーッ!!!

猫ちゃんは藁の上にいた。
こっちをやや伺うような目でみている。

かけよる。
逃げない。
抱き上げる。

よかった!
よかった!

ごめんな、
ごめんな。

よく動かずにここにいてくれたね。
ほんとにほんとうにありがとう。
ごめんな。

家にかえろう。
家にかえろう。
そして一緒に住もうな。
死ぬまで一緒やしな。

急いで家に帰る。

ヨメに「いたよー」って伝える。
ヨメも泣きながらごめんね、ごめんね、って言っていた。
そして頭を何回も何回も撫でる、撫でる。

さっそくヨメは猫のご飯を買いに行く。
実は実家から帰ってくるときに飼ってきたけど
捨てた後
辛くなるから全部捨てた。

ヨメがご飯を買いにいっているあいだ
ツナ缶をよーーくしぼって水洗いして塩分を抜いて
あげてみた。

むしゃむしゃたべた。

2日もほっとかれて
さぞ腹が減っていたんだろう。

2缶いっきにたべた

よかった
本当によかった

これで「猫が好き」ということを
失わなくて済む。