♯room1010
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2014.12.31 18:09 [Wed]
XSまさかまさかの大晦日更新!笑

教師×教師〜1〜〜2〜


 携帯のアラームが鳴りひびく月曜の朝、毛布にくるまったままスクアーロはピクリともしない。
けれど彼は眠っているわけではなく、実はアラームが起動するずっと前から目は覚めていた。
設定で一度止んでいた音が再び鳴り出すと観念したように布団から腕が伸び、手探りでそれを止めた。そして深くため息をつく。

―――はぁ…、仕事行きたくねぇ。
急な発熱だと言って休んでしまおうか、それとも腹痛…?いやでもそんなことをすれば、あの男に痛くもない腹を探らせる絶好のネタを与えるようなものだ。

数分の葛藤の末ようやくベッドから抜け出すと、カーテンの隙間から朝陽が差し込んでいた。今日も天気はいいようだ。
いつもならそれだけで無駄にテンションがあがるのに、スクアーロはまた大きなため息をつく。

「学校…、爆発しねぇかなぁ」そんなまるで小学生のようなセリフを呟くほど、彼は追いつめられていた。原因は言うまでもなく先輩教師XANXUSの存在である。


 先週末、突然校長から彼と一緒に修学旅行の下見に行くように言われた時から嫌な予感はしていた。
修学旅行は海外という学校も多い中、スクアーロが勤務する学園は自国を愛するという教育理念にのっとって昔から行く先は国内のある場所と決まっていた。スケジュールや行程も毎年ほぼ同じ。これまで大きなトラブルが起きたこともなく、だからここ数年は引率教員による下見も行われていなかったらしい。
――それなのに。
異議をとなえる暇もないまま、今週しか時間がとれないと言うXANXUSに半ば強制的に駅と時間を指定された。さすがに一泊すると言われた時は、その場に崩れ落ちそうになったけれど、これも仕事なんだと自分に言い聞かせるしかなかった。

浮かない気分のまま家に帰り、週末を一緒に過ごす予定だった友人のディーノにキャンセルの電話をすると、これまでのいきさつを知っている彼は受話器の向こうで「大丈夫なのか」と何度も言っていたが、スクアーロは笑って「いざとなったら途中で帰ってやる」と言って電話を切った。
けれど明日の着替えを用意しながら、2日間もあのXANXUSと一緒に行動するのかと思うと頭が痛くなってくるのだった。


 そしてほとんど眠れないまま朝がきて、XANXUSは約束の時間ぴったりに駅に現れた。

「おはようございます」

スクアーロが声をかけると、シャツの上に濃いチャコールグレーのベストと同系色のジャケットを羽織った彼は、ショート丈のピーコートに細身のパンツ姿のスクアーロにちらりと目をやったあと無言のまま改札に向かった。

「…ちょっとカジュアルすぎたかなぁ」

洒落たメンズ雑誌に載っていそうなXANXUSのいでたちに若干気後れしたが、かといって今さら着替えるわけにもいかず、スクアーロも後を追って歩きだす。チケットは彼が用意すると言っていたので、そのまま改札を抜けホームへ向かうと既に列車が到着していた。
XANXUSはスクアーロの存在などまるで気にする様子もなくどんどん先を歩いていき、先頭車両まで来ると開いていたドアから列車に乗りこんだ。ちなみにこの間一度も振り向かなかった。
けれどそんな彼の態度より気になることがあってスクアーロは足を止めた。

「これって…」

10両編成の列車には車体ごとにクラスが記されているのだが、XANXUSが乗ったのはもしかして特別車両ではないのか。
下見なので、当然生徒たちが乗る普通車を使うとばかり思っていたスクアーロは驚いた。そして多分経費として学校に請求できるのは普通席の値段で、あとの差額を自腹で払うのかと呆然とする。

「勝手にランクアップしやがって…!給料日まであと2週間もあるんだぞぉ」

そう呟いた時、発車を報せるベルが鳴りだした。
するとXANXUSがドアから顔をのぞかせる。

「おい、乗らないのかスクアーロ先生」
「の、乗りますっ」

てっきり先に座席に行ってしまったと思っていたスクアーロは、慌てて駆けだした。







つづく……
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