虚匣

恐らくイエモンが活動出來る時間はそう長くは無いでしょうから、出來ることからコツコツとやってゆくのです。
案外人は簡単に辞めるし捕まるし死んでしまうんだと、もう痛感しているから。


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愛にできることはまだあるかい
僕にできることはまだあるかい

ある筈、きっとあるのです。
届かなくても実らなくても、それが相手の救いにも包帯にもならなくても。
絶対的な断絶でないのならば、手前が出來ることはまだある筈なのです。
往生際、惡めマン。


＊


「〜成りたい」と云う感覚は余り持ち得ないのですが、全く無い訳では無いのです。
手前の容姿が頭が性根が、せめて人並みならば、と思うことはそれなりにあるのです。
大切な人が哀しみに呑まれている時、切にそう思うのです。
好かれたい訳では無く、大切な人に必要な言葉と態度を見誤らずに添えたい。
そしてそれだけなのに、歳だけとってそれは一向に儘成らない。




愛だけが伝わればシンプルでいいのにね。
それがすべてなのに。
でもそれが出來ないから頭と言葉を拗らせたり矯正したり捏ね繰り回して、「届く確率」に賭けての精度を上げてゆくしかない。
僅かでも届けば御の字。
届かなければ届くまで投げて。
でもその球数が、果たしてあと何球残されているのかな。
尽きる手数と了りに怯んで背を向けたら、それはイコールお仕舞いの合図。



愛にできることはまだあるかい
僕にできることはまだあるかい




ーーーもしあるならば、その哀しみを少しでも払うものになれるよう努めたい、と。
それはむかしからずっと思っている。
大切な人がしあわせであるように、と。
ずっとずっと思っている。