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なくしたものたちの国





角田光代さんのpresentsが私史上最高にヒットした本なんですけど、同じく松尾たいこさんの絵挿入の、似たような雰囲気の本見つけたから購入。短編集です。

生霊がでてきたり、四次元に飛んだり、哲学的なお話が多いです。

一番印象深いのが「さようならと、こんにちはのこと」。
考え事してたら電車の中に娘を忘れてきちゃったって話。
で、駅の人も、喫茶店のマスターも旦那も口をそろえて「よくあること」「大丈夫」「すぐ見つかるから」って言うわけよ。
いやいや、迷子ならわかるけど、そんなこと有り得ないから\(^O^)/って読むのやめようかと思ったよね、わたし。
読み続けたけど。

で、二日後に娘が見つかるの。
忘れ物の管理庫にいるって。
もうわけわかんないよね(笑)
けど、こっからがこのお話の本題なんです。

すべてがわかったときにぶわーって鳥肌立ってまさにツーっと涙が落ちました。
こどもを忘れてきちゃうことって、お母さんになった人ならだれしも有り得ることで、実際うちのお母さんも忘れてきたことあって……。
(ちなみに主人公は娘と会えます)

おかあさんありがとうって言いたくなる作品です。





 忘れないようにしようと、ひとつひとつのものや景色や人に触れてわたしは思う。別の場所で、違う姿で、違うかたちで、違ういのちのありようで出会ったときに、思い出せるように、忘れないようにしよう。愛した人たち、愛したものたち、どうか忘れませんように。
 忘れてもいいのよと、耳元で穏やかな風のようにだれかが言う。その声の主だって私は思い出せないのだ。とても近しくて、たのもしい、やさしいだれか。忘れてもいいのよ、忘れていたって出会えばまた、どうしたって愛してしまうのだから。いいえ、どうしたって出会ってしまうのだから。
「なくしたものたちの国」原文ママ



わたしも今身の回りにあるものが前世ですごく愛おしかったもので、これらがまた出会ったときにどうしようもなくいとおしいものでありたいと、願っています。



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