戦いよりもひるねが好き*
アンナの赤いオーバー 4月3日 17:34


 



「アンナの赤いオーバー」


ハリエット・ジーフェルト 文
アニタ・ローベル 絵
松川真弓 訳



「戦争がおわったら、あたらしいオーバーを買ってあげようね」(本文より)














2月に読んだもの。タイトルの通り、オーバーにまつわる寒い時期にぴったりのお話です。(もう春だけど)
実際にあった出来事が基になっている話のようです。













戦争が終わったら新しいオーバーを買ってもらう事になっていたアンナ。だけど街にオーバーを売っている店なんてない。それどころか食べ物だってない。そもそもお金もない。アンナのお母さんはどうしようか考えて、その結果、家に残っている金時計やネックレスを差し出してオーバーの材料を集めるところからスタートする事に。戦時中、着物と引き換えに食べ物を手に入れていたような感じだね。














まずはお百姓さんから羊毛を手に入れて、次に糸紡ぎのおばあさんに糸にしてもらう。毛糸を赤く染めるためにコケモモを二人で摘み、自宅で染めた糸を今度は機屋さんで生地に。最後に仕立て屋さん。念願の赤いオーバーが形になるまで、材料集めから一年越し、、、!














時代背景こそ暗いものの、悲壮感のない温かいお話です。戦後の日本でリンゴの唄が人々の心に火を灯したように、オーバーを中心にアンナとアンナのお母さん、オーバー作りに関わった人たちに良いエネルギーが連鎖していく、そんな感じ。特に物語のはじめとおわりのお母さんの表情が全然違うのね。ラストはオーバー作りに関わった全員でクリスマスパーティー。平和だわ、、、














この絵本、子供の頃大好きで何度も読みました。どうして好きだったのかははっきり覚えていないのだけど、たぶん何もないところから丁寧に丁寧にオーバーが出来上がる過程が好きだったんだと思う。とにかくこの絵本を読むたびに胸がときめいたんだよねぇ〜。飽きもせず。(笑)














後は作中で仕立て屋さんが、出来上がったオーバーを((みんなが見られるように))って店のショーウィンドウに飾る場面があるのね。それがなんかこう、絵本を通してそれを見た私も街の住人になったかのような、絵本の中に入り込んだかのような。そんな気持ちにさせてくれる絵本だなぁと、大人になって改めて読んでみて思いました。大袈裟かよ。作品に対する思い入れの強さというか、個人差は大いにアリですね。(笑)














そんな感じ。年齢を重ねると共に変わっていく気持ちもたくさんあるけれど、この作品は今もそしてこれからもきっと変わらずに好きなままだと思う。そんな絵本でした。みなさんにも昔からずっと好きな何かはありますか?それではまた〜。

























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