話題:すきな風景


【ポンプ式の古井戸】。

文字として書き起こしても味わい深いものを感じさせる言葉のように思う。

都会では日に日にその姿を消しつつある空き地や農地、そこにポンプ式の古井戸を見つけると何故かほっとしたような気持ち包まれてしまう。

時代から置き去りにされたかのようにポツンと佇むポンプ式の古井戸は、その多くがもう使われておらず、錆びて朽ちるのをただ黙って待ち続けている。


思うに、古井戸に限らず“古”という頭文字がつく言葉には魅力的なものが多いような気がする。

例えば、

数多(あまた)の時を刻み続けてきた【古時計】。

今なお耳に残る、毎度お馴染みチリ紙交換の【古新聞古雑誌】。

ハードボイルドな哀愁を漂わせる【古傷】。

胡散臭さもまた魅力の【古美術商】。

一筋縄ではいかない老獪さを持つ【古狸】。

監督として球審の元へ向かい「代打、オレ!」と告げ、今度は選手としてバッターボックスへ入った【古田敦也・監督兼選手】。


最後は明らかにニュアンスが異なるとしても、

やはり私は古いものが好きなのだろう…。

都会の片隅に取り残されたポンプ式の古井戸を眺めながら、改めてそんな事を思った。


以上…


【古畑任三郎】でした。