話題:笑える話

先日の朝の事です。

道の前方から、何やら人間の形をした光り輝く未確認生物が歩いて来たと思ったら、それは友人の猫背丸三郎くん(仮称)でした。

いつも猫背で丸まっている彼の背中が、今日に限ってはモアイ像のようにシャンと真っ直ぐに伸びています。オマケに、彼の体からは阿弥陀如来のような光芒が幾筋も放たれていたのです。

(エイリアンの実験台にでもされたか!?)

ところが、猫背丸くんは開口一番、満面の笑顔で私に向かってこんな事を言ったのです。

猫背『出たんだよ!』



時に会話上の言葉は【主語】が無くても意味が通じる時がありますが、この場合は無理です。

私『何が?』

猫背丸くんの表情は、あまりに笑顔で綻びすぎていて、顔の筋繊維がおかしくなっているのではないかと、思わず心配してしまう程でした。

猫背丸『だから、石だよ石!』

…石。

すると彼は‥皆に内緒で鉄鉱石の採掘でもしていたのだろうか?

猫背丸『今朝、トイレで用を足したら…コロン♪…って出て来たんだよ――!』

どうやら鉄鉱石では無いらしい事が判明しました。

私『で‥何の話?』

私の真っ当な質問に、彼は相変わらずの【超ゑびす顔】で答えました。

猫背丸『ザ・尿道結石!!!』

なんと!石とは、体の中に出来た結石の事だったのです!

猫背丸『いやもう‥ここ何日か全く生きた心地がしなくてさあ!…それが今朝、コロンって♪コロンだよコロン♪』

そう言えば昔、【コロン】というお菓子があったような…今でも、あるのかな?

それにしても、猫背丸くんの嬉しそうな顔といったら…十年近く付き合って来て、こんな嬉しそうな顔の彼を見た事は一度もありません。

顔中の毛穴という毛穴から輝く光の矢が放たれていて、その様子はまるで、顔の中で【プラズマ実験】をしているかのようです。

“人は心底嬉しい時、毛穴からプラズマ光を放出する”

私は自分の【格言手帳】に、それを書き留めました。