人魚の眠る家


夫婦の関係が静かに終わりを迎える頃、悪夢のような知らせが届く。
最愛の娘がプールで溺れた。
医学的には脳死を宣告されるものの、事実を受け入れられずに最先端の延命処置を施すことに。
努力の甲斐もあって肌艶の向上や身体的成長も見られ夫婦は希望を見るが、その果てにあるものはひとつの狂気だった。

しばらく東野圭吾の作品は読んでいなかったので、こんな風だったっけ、とぼんやり思いつつ、妻の行動に分かる分かると受け入れて読み進めた。
次第に周囲を巻き込み縛りつける様にはもちろん恐怖を覚えたけど、分からないでもないよね。
昔失った恋人を冷凍室に保管して永遠を維持しようとした男の話をなにかのドラマ(たぶん世紀末の詩)で観たけど、僕ならこっち。
研究員の星野を恋人が隠れて追跡していくところとお誕生日会がいちばん面白かった。
そもそも面白がるものでもないと思うけど、映画の方はどうだろうね。

愛しいと近しいは似ていると思ってるんだけど、また僕は後者の表現の方が好きなんだけど、ひとりの近しい人間が死となんら変わりない状態に陥ったとき、人が狂ってしまうのは正常なことだとおもう。

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2020 1/3(Fri)
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