「僕、女に興味ないんですよね」
「触りたいとこ、ないんでしょう」
「あなたが、好きよ」
※ネタバレあります。
映画「メゾン・ド・ヒミコ」見ました。
生と死と性、欲望と愛情が、様々な色合いで重なり合っている映画だと感じました。
オダギリジョーさんがゲイの青年・春彦を、
柴崎コウさんがゲイの父親を持つ沙織を、
ゲイ専用の老人ホームを作った卑弥呼を田中泯さんが演じています。
だんだんとやつれてベッドに横たわっている卑弥呼に、沙織がひたすらに今までの苦しみを訴えるシーンが切ない。
「あんたのこと、ママのために許さない」
と睨みつける沙織に対して、卑弥呼は
「私にも言わせてくれる」
と言った後、ゆっくり間をおいて、真っ直ぐに目を見て
「あなたが、好きよ」
と静かに言う。
ずるいな、と思った。
こんな事言われたら絶対憎みきれなくなってしまう。
でも、やっぱりすごく暖かくてその一言に今までの苦悩が全て込められている気がして、どうしようもなく涙が出た。
きっと、たくさんの苦しみを経験してきたからこその重みがそこにある。
沙織にとって今はその言葉が憎くても、いつか時が経てばこの言葉が支えになるんだろうな、と思った。
同性愛者というだけで彼らは偏見の目に晒されてしまうことも多いのだろうけれど、話が進むうち彼らがとても愛しくなってくる。
性別とか年齢とかマイノリティとか関係無く、自分らしく生きようとしている人は魅力的だと思う。
衣装はアカルイミライと同じく北村さんが手掛けているのだけれど、やっぱりすごい。
そしてこの極彩色のターバンやドレス?が似合う田中泯さんもすごい。
卑弥呼の佇まいは性別とか生とか死を越えているものを感じる。
春彦、というかオダギリジョーさんは本当にただ座っているだけでも色気がある。
白スーツがこんなに似合う人も珍しいかと(笑)
柴咲コウさんはわざわざそばかすを描いてまで地味な事務員を演じているのだけど、ふいに見せる表情が素朴ですごく可愛い。
いきなり出てくるコスプレとかダンスシーンとか、ちょっと飛んじゃってるようなシーンも何か好き(笑)
クラブで沙織がひたすらキレるシーンとか。
あと途中で出てくるアニメは絵がセーラー〇ーンそっくりなんだけど、作画とか一緒なのかな…?
ラストはちょっとベタかもしれないけれど、暖かくて素敵。
きっと、ちゃんと繋がったことの証。