8/31 02:48拍手コメントよりリクエスト、コゴール砂漠のオアシスでイチャイチャするフレユリ。裏ですので閲覧にはご注意下さい。
照り付ける強烈な陽射しに揺らめく風景に目を細めた。
見渡す限り砂しかない広大な砂漠の風紋には既に何の感慨も抱かないが、こんな殺伐とした世界だからこそ、改めて美しく感じるものがある。
目の前に広がる、透き通る水を満々と湛えたオアシスと生い茂る緑に視線を移すと、一人の人物がその向こうへと歩いて行くのが見えた。
「ユーリ!!また君は勝手に…」
仲間達を振り返るが、皆もそれぞれに先程の戦闘の疲れを癒すのに懸命のようだ。目が合ったエステルが軽く微笑み返したのに頭を下げ、フレンはユーリの後を追ってオアシスの奥へと向かったのだった。
「ユーリ?ユーリ!何処だい!?」
声をかけると、少し離れた場所から帰って来たのはなんとも気怠げな声。
「……何だよ、こっちだフレンー…」
「……全く……」
腰の辺りまである緑の茂みを掻き分けて声のほうへと向かう。開けた視界の先に漸くユーリの姿を見つけて、フレンは小さく息を吐いた。
「どこかへ行くなら、誰かに一言声を掛けてからにしなよ」
「どこかって…行くとこ一つしかねえじゃねぇか。いい加減コレ、どうにかしてぇんだよ」
言いながらユーリは自らの胸元をくいくい、と親指で指し示す。広く開いた衣服から覗くのは見慣れた白い肌ではなく、赤錆びた何かがべったりとこびりつく汚れた身体だ。
勿論その部分だけが汚れているわけではなく、ユーリの上半身は先程倒した魔物の返り血によって見るも無残な状態になってしまっていた。
「……ったくよー……とりあえずオアシスの近くでよかったぜ…」
ぶつぶつと文句を言いつつ、ユーリは自らの衣服を取り払ってゆく。フレンの視線など全く気にしていない。
フレンがまた一つ、溜め息を零した。
「ユーリ、誰が来るかわからないんだから…」
「おまえが来た時点で、もう他の誰かなんて来ねえだろ。とにかく早く流したいんだよ、ベタベタして気持ち悪ぃし生臭いし、最悪だ」
「ちゃんと避けなかった君が悪いんだろう」
「あそこで避けたらエステル達がこうなってたと思うがな。そしたらまたおまえに説教食らうしなあ?」
上着を脱ぎ捨てたユーリが振り返り、皮肉を込めた笑みをフレンに向ける。
両手を広げ、逆光を受けるその身体を見せつけるようにするユーリに、フレンは苦笑するしかない。
拭き跡の残る頬に手を伸ばしてそっと撫でると、ユーリの眉が僅かに歪んだ。
「…まあ、何事もなくて良かったよ」
「何事って…別に攻撃食らった訳じゃねえし。…あんま触んなよ、汚れるぞ」
「魔物の中には体液や血液に毒を含むものもいる。それをこんな、頭から被ったりして…かぶれるだけじゃ済まない場合だってあるのに、無用心だ」
「んだよ、『何事もなかった』んだからいいだろ。…それより」
ユーリの瞳がすっと細められた。
「おまえもその暑っくるしい鎧、脱いだらどうだ?せっかくだから一緒に汗、流してから戻ろうぜ」
「一緒に、ね…」
ユーリの言葉の意味するところを理解してフレンが一歩踏み出し、汗と、ほんの少し残る魔物の血液でしっとりと濡れる項へそっと指先を滑り込ませて引き寄せた。
「ふ……っ、ん…ン!」
「ユーリ、そんなに動かない、で」
「う…、ムリ、だって…ッ」
ぱしゃん、と水の跳ねる音が青い空へと吸い込まれていく。
仲間のいるあたりからは反対側で、こちらの様子は見える筈もない。もし誰かが呼びに来ても、岸辺に生えた椰子の幹に遮られてすぐには見えないだろう。
わざわざ移動した場所で二人は身に着けていた衣服を全て脱ぎ捨て、澄んだ水の中で互いの身体を弄っている。
フレンの手が何度も繰り返しユーリの髪や胸元に水を掛けて汚れを綺麗に流した後からはもう、ただじゃれ合うかのように水中で脚を絡め、腰を擦り合わせ、唇を重ねて貪るように吸い、より快楽を得ようとするだけだ。
向かい合ってユーリの腰を掴み、自分の同じ部分に強く押し付ける。冷たい水が纏わり付いて緩慢になる動きを寧ろ楽しんでいるかのように腰をくねらせて、フレンの胸に身体をぴったりと付けてくるユーリの口からは可愛らしい吐息が絶えず溢れて止まらない。
刺激を受け続ける下半身の一点が、冷たい水の中にありながら熱く滾るばかりだった。
「あ…ッあ、ふぁ……」
「ユーリ…どうしたの…?」
「ん…あつ、い……!」
「…どこが?」
左手でユーリの尻を撫でながら右手を重なる部分へと潜り込ませて、そのまま自分自身とひとまとめにして軽く擦り上げると、同じ高さで潤んでいた薄紫の瞳が一際強く輝いた。
きゅっと力を込めた次の瞬間、大きくのけ反った白い喉元に顔を埋めて、顎の裏側までを舐め上げながら聞いてみる。
「…ここが熱い…?」
「はぁ…っ、あ、あ…すっげえ熱い…」
「ん、僕も…」
本当は、目の前の喉に思い切り吸い付いて跡を残してやりたい。胸の小さな蕾の他にも朱い徴を散らしたいといつも思い、仕方なしに諦めている。
見えるところに付けるな、と言われるのはわかりきっているし、無理に付けようとして殴られたことも何度かある。そうなると甘い雰囲気が一転、後の機嫌取りに苦労する。
だから最近、フレンが好む体勢、というより体位があった。
「ユーリ、こっち向いて」
「ん…?あ、ぅん…む」
ユーリの顔を自分のほうに向かせ、長い髪に指先を潜り込ませて頭を抱えると、ユーリが少し顔を傾けてより深い口づけを求めて来る。
角度を変え、深さを変え、何度も繰り返していくうちに二人の息遣いは荒くなり、僅かに唇を離して息継ぎをしてはまた重ね……舌を絡ませ合うとぴちゃぴちゃと耳に響く音が、二人が水面を揺らして響かせる水音と一つになって溶けていった。
「はぁ、んっ…ふぅ………」
離れた唇から透明な『糸』が紡がれ、陽光にきらりと光ってたわみ、そのまま水中へと落ちていく。
口づけている間中ずっと愛撫し続けていた自分とユーリの熱い分身は、もういつ弾けてもおかしくない状態になっている。
いつもなら卑猥な音を立てながら指を濡らす透明な液体は溢れ出ているのだろうが、今は先端をぐりぐりと刺激しているフレンの親指の腹に一瞬その感触を残し、水中に霧散していくだけだった。
快楽に堪えられなくなっているのは二人とも同じだ。ベッドの中とは違う感覚と、奇妙な浮遊感。
物理的な浮力は二人の膝が崩れ落ちるのを支える事に一役買っていたが、それもそろそろ限界に近い。
ユーリにしがみつかれるような格好のフレンがユーリの表情を覗き込んだ。
上気した頬の熱が胸に伝わり、とろんとした瞳が見える。腕に食い込む爪の痛みは、それだけユーリが自身の身体を支えるのに必死な証でもある。
こうなればもう、ユーリの体勢を自由にするのは難しい事ではない。
「ユーリ、ほら…いつもの格好」
「え…っあ、わ……っっ!!」
一瞬で身体をひっくり返され、岸辺に上半身を投げ出したユーリが振り向くより早く、フレンが背後からユーリの身体に覆い被さって両手の指同士を絡めればもう、ユーリは動く事ができない。
少しばかりの不満を滲ませてユーリが背後のフレンを振り返って言った。
「…なんかおまえ、最近このカッコ好きだよな…」
「んー…なんだかものすごく、ユーリを自分のものにしてる、って感じがするからかな」
「……はっ、何言ってんだか」
「そう?だって…」
ユーリの背中の上から強く押さえつけるようにして体重を乗せ、絡めた右手を離して再びユーリの性器を握って強く上下に扱くと、ユーリの身体がびくりと震え、背中が弓なりに張り詰めた。
堪えきれないユーリの嬌声が上がって、フレンが喉を鳴らす。何度見てもこの艶のある姿を見慣れる事などなく、耳に甘い声も聴く度に背筋にぞくぞくと快感が走る。
濡れて張り付く長い髪を優しく掻き分け、項に口づけて強く吸った。
くっきりと残った朱い徴を見て、フレンが満足げに言う。
「…ほら、僕のものだ」
「あ……っつ!こんの…、跡付けんなって何回言わせ……」
「見えなければいいだろう?」
「そこは微妙で……ッッあ!!」
首筋から肩甲骨の間をなぞるようにしながら幾つも徴を刻み、徐々にフレンの身体がユーリの背を滑り下りて行き、最後にたどり着いた場所を押し拡げて舌を捩込む。
「ッひ…ああぁあ!!」
水面が波打ち、跳ねた飛沫がフレンの顔を濡らす。
悦びを含んだ一層高い声が愛しくて、柔らかな肉を掴む掌に思わず力を込めずにはいられなかった。
「ん、んッッ!!」
「は…っ、あ、はッ……!」
充分に解した内側は柔らかくうねりながらフレンを受け入れ、絡み付いて包み込み、あまりの快感で激しくなる抽挿にユーリは声を上げっ放しだった。
ばしゃばしゃと騒がしい水音も二人の耳には入らない。
感じているのはフレンが突き上げる場所が発する湿り気を帯びた粘着質な音や互いの吐き出す息が肌を掠めてゆく感触。
照り付ける太陽の陽射しよりも熱く火照る身体を冷たい水飛沫が冷ましても、一つになっている内側の熱は冷める事はなくますます温度を上げていくようだった。
「ッあっ!はあっ、…あ、ふ、ふれ…んンンッッ!!」
切羽詰まった様子のユーリがフレンの名を呼ぶ。
きつく眉を寄せて肩で息をしながら、その肩越しに自分を振り返る表情がフレンは好きだった。
もう我慢が出来ない、絶頂に導いて欲しいという哀願の眼差しが心を波立たせる。
「あァッッ、ああぁあア!!」
岸辺に腕を突っ張ってユーリが叫ぶ。
全身を戦慄かせて振り上げた髪が背中に落ちる様子をはまるでスローモーションのように眺めながら、より深い場所を突いてぐるりと円を描くように腰を捻るとそれが止めになるのをフレンは知っていた。
何度もユーリと身体を重ねるうちに見付けた愛し方だ。
およそ普段聞くことのない、快楽に塗れた嬌声が堪らない。
ユーリから放たれた白濁が透明だった水中に薄く流れてゆくのを視界の端で捉えながら、フレンもまた、ユーリの中を自らの放った熱で満たすことにこの上ない快楽と満足感に浸り、幸福せを感じるのだった。
「……あちィんだけど……」
うんざりした声でユーリが言う。
まだ身体を動かすのが辛いユーリは怠そうに四肢を投げ出しているが、フレンがそれを後ろから抱き抱えていた。
上着は洗ってすぐ傍の岩の上に干してあり、つまりはそれが乾くまでの間中、こうしているつもりなのか、という事をユーリは言いたいのだった。
濡れていた髪も身体もすっかり乾いている。だがフレンに抱き締められ、多少遮られているとは言え強い陽射しと高い気温のせいで汗が流れて気持ちが悪い。
「おい、マジで離れろよ!」
「今離れたら自分の身体も支えられないだろう?」
「その辺の木にでも寄り掛かる」
「だったら別に僕が支えても変わりないじゃないか」
「だから暑いんだって言ってんだろ!?」
耐え切れずに大きな声を出すユーリを更に強く腕の中に閉じ込め、その耳元に囁くフレンの声は何とも楽しそうだ。
「…だったら、もう一回『水浴び』する?」
さすがに誰か捜しに来るかな、と軽い調子で言うフレンに対し、ユーリは呆れて言葉も出ないのだった。
ーーーーー
終わり