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聖なる漆黒(※リクエスト)

8/31 梨愛様よりリクエスト、フレユリで聖騎士としてフレンの補佐をするユーリ。裏ですので閲覧にはご注意下さい。







キン、と高く澄んだ音が響いた。


「今日は僕の勝ちだね」


剣先を相手に向けたまま、勝利を宣言したフレンの声は弾んでいた。
ここのところ、負け続きだったのだ。


「ち…っくしょう、まだいけると思ったんだがなあ」

左手首を摩りながら、ユーリは弾き飛ばされた刀の元へ向かう。地面に突き立った刀を引き抜いて振り返った姿に、フレンは一瞬見惚れていた。

フレンの視線に気付いたユーリが腰に手をやり、大袈裟に溜め息を吐いて肩を竦めてみせる。この姿でザーフィアス城に仮住まいするようになってだいぶ経つというのにこの様だ。
一体、フレンはどれ程自分のこの姿を気に入っているのかと思うと、面映ゆいと同時に少しばかり呆れるのだった。


騎士団の再編は困難を極めた。
前騎士団長の反乱に荷担した騎士の多くは然るべき処罰を受け、多くの者が城を去る事となった。その中には隊長職以上を務めていた者も少なくない。新たに騎士を募ると同時に、隊をまとめる人材の育成も急務だった。フレン一人では確実に手が足りない。かといって、それらを任せる事が出来る程の信頼に足る人物が身近にいるかと言えば、まだ難しい、としか言えない状況だった。

そこで白羽の矢が立ったのがユーリだ。

毎回毎回、自分しか頼る相手がいないのかと不安にならないでもない。ユーリもギルドの一員としてあちこち飛び回っているのを知りながら、フレンは度々ユーリに騎士団とギルドの橋渡しを頼んでいた。

今もそうだった。仕事の内容によっては、何日か城に詰める事もある。そんな時、身動きが取りやすいようにと言われてユーリは渋々その衣装に袖を通す事を承諾した。


自由聖騎士、と呼ばれる者だけが身に着けることを許されたその衣装は、一度は称号共々受け取る事を辞退したものだ。
だが衣装は無理矢理持たされ、称号もいつの間にか正式に授与された事になっていたのでタチが悪い。

旅の最中には何の役にも立たなかったそれらだったが、確かに現在の状況に於いてはそれなりに便利ではあった。堂々と城の中を闊歩出来るし、フレンと共にいる事を咎める者もいない。
が、それが逆にユーリにとっては悩みの種になっていた。



「やっと感覚を取り戻す事が出来たかな。体力もね」

「…よく言うぜ」

「何か言ったかい?」

「別に…。ほら、今日の鍛練はもう終いにすんだろ?とっとと戻ろうぜ、汗も流したいし」

刀を鞘に納め、フレンの肩を叩いて通り過ぎようとしたユーリだったが、フレンが腕を掴んで引き寄せた為に、よろけてフレンの身体に寄り掛かる格好になってしまった。


「おい、ちょっと…!」

「ユーリは逆に腕が落ちたんじゃないか?」

「あのな…だとしたらおまえのせいだろうが!」

「どうして?」

「どうって……あ!!」

フレンは掴んだ腕を更に引き、胸に顔を埋めたユーリの腰に素早くもう一方の腕を回してしっかりと抱き寄せる。
ユーリが顔を上げると同時に、その唇を塞いでいた。
勿論、自らの唇を重ねることで。


「んンンッッ!!?」

ユーリが抵抗して顔を離そうとするが、ユーリの腕を掴んでいた手が今度は首の後ろを強く押さえ付けてそれを許さない。

「ふ……ッ、ん……!!」

舌を差し込まれて徐々に激しくなる口づけに堪えかね、ユーリは何とかしてフレンの腕から逃れようと身を捩る。肘から下をばたつかせていると、ふと指先に何かが触れる。
ユーリはそれを手繰り寄せて握り締め、一拍置いて一気に引き下げた。

「んっ、わ…っっ!?」

「ふっ、う…こ…んの、バカ野郎!!」


鈍い音を立てて、マントを留めていたボタンが外れた。ユーリが引っ張ったのはフレンのマントで、無理矢理肩を後ろに持っていかれたフレンが漸くユーリを解放した。


「何するんだ!」

「こっちのセリフだ!!時と場所を考えやがれ!!」


マントを地面に叩き付けたユーリが叫ぶ。
ここは城の中庭で、誰が見ているかわからない。実際、二人が鍛練をしている様子を覗き見る者は多かったし、二人も特にそれを気にしてはいないのだったが。

「だって…その姿は反則だよ」

「おまえが着ろっつったんだろ……!?」

「時と場所を考えればいいんだろう?汗を流して来るならそうしてきなよ、僕は先に戻ってるから」

「ちょ…おい!!」

拾い上げたマントの汚れを落としながらさっさと行ってしまったフレンの背中を睨みつけ、ユーリは深々と溜め息を漏らすのだった。







「あ、やっ……は、ぁあ…!!」

「ん…ユーリ、腰、上げて」

「こ…っ!おまえは、少し我慢ってもんを…!!」

「ちゃんとユーリの希望を汲んだじゃないか。それに…」

フレンの右手がユーリの腰をなぞりながら下りて行き、中心となる部分をゆっくりと撫で上げる。
普段ユーリが着ている服よりも上質で指触りの良い布地に包まれた下半身が緩く勃ち上がっているのを掌に感じ、それを軽く握りながらユーリの耳元に唇を付けてフレンが囁いた。

「…君だって、我慢するの…もう、辛いだろう?」

「あッッ、やァ…っっ、め…!」

きゅ、と力を入れてみると掌で徐々に熱さを増す中心に触れながら、フレンは小さく笑う。組み敷かれたユーリが悔しそうに唸り、恨めしげな眼差しを向けた。

「あっ、ああッ!やめ、これ一着しかないんだから、汚……す、なっ、てッッ!!」

「だったらほら、大人しく腰を上げてよ」

「くっ……そ……!!」

悪態をつきながらも素直に腰を浮かせたユーリの首筋に口づけながら、フレンの手が丁寧にユーリの衣服を脱がしていった。

既に取り払われた腰布がベッド脇に落ちている。更にその上に脱がされた下穿きが重ねて落ちて、その周りに散らばった書類が微かな音を立てた。

書類は部屋に戻る途中でユーリが受け取ったものだったが、フレンはユーリが戻るなりユーリをベッドに押し倒した。手にしていた書類はその時に全て床の上に取り落とされ、なんとも無惨な姿を晒している。

後から拾い集めて順を揃えるのが面倒だと思っていると、フレンの手がユーリの顎を掴んで上向かせた。

「…よそ見しないで、ユーリ」

そのまま唇を重ねられ、もうどうとでもなれ、と半ばヤケになりながらユーリも瞳を閉じた。




「あ、あぁッ!あぅ、んゃああ!!」

「はぁッ、…っは、ユーリ、ユーリ……ッ!!」

「フレっ……ん、むぅッッ!!っふ、んんン!!」

フレンの熱いものに穿たれ、ユーリが甘い声を響かせる。何度でも聴いていたいその声を発する口を敢えて塞ぐと、苦しげな呼吸が鼻から抜け、それがフレンの頬を擽った。
どちらも甲乙付け難い、自分だけが聴くことの出来る調べだ。ユーリと身体を重ねる度にフレンはそう思う。

聖騎士姿のユーリは凛とした立ち居振る舞いがより一層際立ち、何気ない仕種も優美さを増している。そう思っていないのは本人だけで、知らずユーリは周囲の視線を集めていた。

高い位置で一つに纏めた髪がさらさらと流れるさまはすれ違う者を振り返らせ、しなやかなラインも露な肢体に目を奪われるのはフレンだけではない。

本当はユーリがそのような視線に晒されるのは我慢ならないが、今目の前でその肢体をいやらしくくねらせ、伸びやかな脚を絡ませて更に深い繋がりを求めるユーリの淫靡な姿は自分しか知らない。
そう思うとフレンはどうにも抑えが利かず、こうして激しくユーリを求めてしまう。

行為が始まってしまえば快楽に没頭して乱れるユーリの声をもっと聞きたい。
切なげに柳眉を歪め、白い肌が熱を帯びて朱く染まってゆく姿をもっと見たい。

何より、触れ合う肌の熱さをもっと感じたい。

強く打ち付ける度に上がる卑猥な水音と、途切れがちになり始めたユーリの喘ぎに頭がぼうっとしてくる。

見下ろした視界に映る白い喉元に舌を這わせ、ますますのけ反るその場所を強く吸った。

「っああッ!!あっ…は、バカ…っ!跡、が……!!」

唇を離した場所には小さく紅い徴が濡れていた。

「見えるトコにっ、付け……な、って、ン、何回言わせ……ッあ、ああぁ!!」

抗議の声も途中から嬌声にしかならない。
フレンは動きを止めることなくユーリを突き上げ続け、様々な場所に愛撫を加えて責め立てる。

的確に性感を刺激され、ユーリは飛びそうになる意識を繋ぎ止めるのに毎回必死だった。

気を遣ってしまった後に意識まで手放してしまうと、その間にフレンがユーリの身体を清めているらしかったが、ユーリはそれが恥ずかしくて堪らないのだ。

こうして身体を繋げている際に自分が漏らす声を聴かれる事も、どうにも出来ず乱れる醜態を晒す事も、羞恥のあまり死にそうなことには変わりない。

だが、目の前のフレンの欲に染まった瞳に見つめられ、余裕のない息遣いを感じるのは悪くない、と思っている。
何事も軽くこなしてしまうフレンが、自分に執着して側に置こうと必死な姿が愛しく思う辺り、ユーリもフレンのことをどうこう言えた義理ではないのだ。

しかし、毎晩激しく求められ、ただでさえ身体に負担の大きい受け身である側なのに意識を保つために精神力まで消耗させられ、それで『体力が落ちた』などと言われたのではたまらない。

ふと見た先に、フレンに脱がされた聖騎士の衣装が映る。
僅かに潤んで滲む視界の中でそれを見つめながら、やはりあの姿は拒否したほうが良かったか、などと考えていたら、再びフレンの掌が頬を包んで正面へと顔を向けられた。


「よそ見、しないでって…言ってる、だろ……!」

少しばかり拗ねたような表情も、一瞬で本能を露にした雄の顔へと変わった。

背筋にぞくりとしたものを感じながら、同時に喩えようのない快感を覚えて思わず喉を鳴らすと、自らの体内を執拗に蹂躙していたフレンの熱の塊が大きく脈打つのを感じてユーリが悲鳴のような喘ぎを漏らす。

それに呼応するかのように勢いを増したフレンの責めに揺さ振られ、抱えられた腰が大きく跳ねた。


「ひァ、イあっ…あああぁぁッッ!!!」

「くぁ、あ、う……ッく…!!」


同時に絶頂を迎え、フレンがユーリに覆い被さるようにして倒れ込む。
互いに埋めた髪に汗の匂いを感じながら、相手から離れられない事をどうしようもなく思い知るのだった。






「…やっぱり、一着しかないというのは考えなくてはいけないかな」

「おまえの手伝いする時以外はいつもの服でいいじゃねえか」

「ここにいる間はあの姿でいてもらいたいんだけど…。ユーリが騎士団に戻ってくれるなら、その辺りのことも考えてもらえるかも知れないよ」

「いい加減にしてくれよ…おまえがもう少し我慢すればだな」

「無理だね」

「…………」


静かな部屋の中に、悩ましげなユーリの吐息が染み込んでいった。





ーーーーーー

終わり
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