前回のブログを締めくくった一文。

その甲斐あってか、最近は二人ともあまり忘れ物をしないようです。

こうやって持ち上げてやったそばから、ありえない忘れ物をする人間、それが響子嬢であります。

今年から某球団の熱心なファンとなった響子嬢に誘われて札幌ドームへ足を運んだ時の出来事です。
「私が運転するからビール飲んでいいわよ!」という響子嬢の言葉に甘え、私と綺羅子さんは彼女の愛車に便乗させてもらう事になりました。
ドームから少々離れた駐車場に車を停め、そこからタクシーでドームに着くと既に試合は始まっていた事もあって周辺の人影はまばらでした。

試合の結果は、、まぁ言わぬが華、というやつでして。
我が事務局内ではその某球団は響子嬢が応援に行った日には必ず大敗する、という一種のジンクスまであるぐらいなものですから。
十指に余る球場通いの中で、勝ち試合を見た事はただの一度きり、という運の悪さ。
愛情が裏目に出てしまっているのか、、と本人も落ち込み気味です。

そして、事件は帰りに起こりました。
ドームを出てから駐車場までは再びタクシーを利用し、さて、乗り込むか、、といったところで突然響子嬢の表情が凍結。
バッグに入れた右手が縦横無尽に中を彷徨っているのがよくわかりました。
次にバッグを肩から下ろして口をガバッと開き、頭を突っ込みそうな勢いで中を捜しております。

まさか。まさか。まさか、、、

「響子さん、、鍵、ないんですか?」

恐る恐る、といった感じの綺羅子さんの問いかけに、響子嬢は「えへ、そうみたい」と笑顔で応じてくれました。
えへ、はないだろう。
えへ、は。
しかし、実際のところはその場ではそんな突っ込みをする気力もありませんでした。

「スペアキーは?」
「車の中」

予想通りの返事に更に脱力。

「この駐車場を出る時までは確実に鍵はあったはずよね」

当たり前です。
そうでなければどうやって運転してきたというのか。
しかし、、という事は、行きのタクシーの中に落としたという可能性が一番高いのでは?
残念ながら私は行きにどこのタクシーを使ったかも覚えていないが、三人の内一人(というより綺羅子さん)ぐらいは覚えているかもしれない。
しかし、残念ながら綺羅子さんもそこまではチェックしていませんでした。

ところが、、
「こんなこともあろうかと!」
そう、響子嬢が得意げに叫んで取り出したのは一枚のタクシーカード。
何となく予感がして、行きのタクシーの中でもらっておいたとの事。
そのカードを手にした彼女の表情は、偉いだろう、誉めろ、と言わんばかりなのですが、、そんなところに気を回す余裕があるなら最初から鍵を無くさないでくれないだろうか、、

幸い、そのタクシーの中で鍵は無事発見されまして、ここまで届けてくれるという運転手さんの心遣いに感謝しつつ近くのファミレスでその到着を待つ間。
響子嬢は延々綺羅子さんに諭されておりました。

「タクシーに乗ったらタクシーカードを忘れずに」
これが響子嬢の教訓なのだそうですが、それよりも忘れ物の有無を確認する癖をつけた方がいいと思うのは私だけなのでしょうか。