*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋-完結・前編-』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の完結・前編です⇒
story.26:『前降り』
槐たちを、真紀が経営する飲食店に呼び出した僕たちは、いよいよ槐たちと相対した。
僕が槐たちの名前を呼ぶと、槐たちは予想通り、自分たちの目の前に立つ僕たちを警戒した。
福崎:(そうでなくちゃ)
僕は槐たちの反応に満足すると、次の僕の言葉を待つ彼らをさらに警戒させるために、僕は後ろに立っていたアートロに向かって話し掛けた。
福崎:「酷いよね。"こんなに分かりやすくしちゃ"。
警察にすぐ勘づかれちゃうじゃないですか…」
僕の問い掛けに、アートロはひょうきんに言ってきた。
アートロ:「案外気付かないかもよ。それに逆に警戒して、足踏みさせられるし♪」
アートロは、分かっている。
僕が、槐たちを警戒させるためにこんな会話をしているということを。
だから話を合わせてくれる。
僕はクスクスと笑いながら、返事をした。
福崎:「まぁ、最終的に決めたのは僕だから文句は言わないけど」
僕がそう言うと、その会話の意味に気付いた二条武長くんが言ってきた。
武長:「それって……俺たちの名字のことですか?」
福崎:「鋭いね、武長くん」
武長くんとの会話で、他の槐たちも気付き始める。
西原悠一くんと矢神拓斗くんの名前が間に入っているとはいえ、一条から順番に名前を言えば、勘の鋭い子は気付くよね。
福崎:(想定の範囲内だけど…)
僕は、改めて槐たちを順番に見渡してから話を切り出した。
福崎:「唐突だけど、君たちの素性を調べさせて頂きました。
皆さん、胸の内に秘めた思いがあるでしょう。
僕に協力してくれたら、君たちの"復讐"の手助けをしましょう。
確実にターゲットを見付け出せますよ」
先ずはそう言って、槐たちの反応を見てみることにしよう。
すると早速、九条秋生くんが問い掛けてきた。
秋生:「…俺の妹を殺した奴が分かるのか?」
福崎:「協力してくだされば、すぐにでも調べましょう」
僕がそう言うと、秋生くんは決心したようにぐっと背筋を伸ばし、拳を握り締める。
薫:「僕のような人間でも、確実に復讐を遂げられますか?」
次に問い掛けてきたのは、精神的な理由から視覚に障害があった六条薫くんだった。
僕は、薫くんに笑顔を向けながら返答した。
福崎:「はい。貴方の復讐がしやすいように、協力者を用意致しました。」
僕がそう言うと、他の槐たちの心も揺れ始めた。
武長:「俺は、"あの子"に父親のことを知られたくない…」
"あの子"が、甥の飛鳥くんのことを言っていることは、僕たち……特に猿の仮面を被っていた酒田雅春はよく分かっていたと思う。
これがきっかけで、酒田雅春は自身の復讐を改めて決心し、武長くんそっくりに整形手術をするまでに至ったのだと思う。
一貴:「おれは……先輩の本心が知りたい…」
三条一貴の想いに、狐の仮面を被っていた美子こと、埼周平はどんな顔をしていただろう。
きっと、"願いを叶えてあげたい"と思いながら見ていたはず。
直弥:「父親を殺した女に復讐がしたい…。今の自分の状況を変えたい……」
……"やっぱり"。
僕と、後ろにいたアートロもきっとそう思ったはず。
七条直弥くんは、"やっぱり"父親を殺した女と実母を別に考えているようだ。
可哀想に…。
直弥くんはひょっとしたら、また父親という存在を失うことになるかもしれないのに。
それに、直弥くんは今まさに実母に振り回され、騙されている。
もし直弥くんが、父親を殺した女と実母が同一人物だと知ってしまったら。
彼は、絶対に復讐をする。
自分の状況を変えるために------------と、その時だった。
拓斗:「みんな、復讐なんて考えちゃダメだ!」
椅子から立ち上がり、矢神拓斗くんが反論してきた。
それまで復讐心を燃やしていた槐たちが、拓斗に注目する。
拓斗:「大体その人たちが何者かも分からない上に、いきなり復讐をしろとか頭がおかしいとは思わないのかっ!
その人が言う"協力"が、みんなの周囲にいる人たちに迷惑が掛かることだったら…!」
拓斗くんがそう言うと、一条真幸くんや、十条隆志くん、そして西原悠一くんが頷いた。
槐の何人かが、拓斗くんの言葉に動揺するなか、僕は笑みを浮かべた。
あらかじめ反論すると予想していた子が、"予想通りに"反論してきた。
僕は、アートロたちの後ろのカーテンの向こうに声を掛けた。
福崎:「お願いします!」
僕がそう言うと、カーテンの向こうから幼い男の子……もう一人の第8の槐こと、八条大夢くんが飛び出してきた。
大夢:「パパー!」
突然の大夢くんの登場に、他の槐たちも驚いたが、拓斗くんはそれ以上に感動して椅子から立ち上がり、大夢くんに駆け寄って抱き締めた。
拓斗:「大夢…!大夢!」
2人が約2年ぶりの再会を果たすと、他の槐たちはなんだかよく分からないこの状況にほだされた。
だが、次の瞬間、拓斗くんはある事に気付いて一度大夢くんの服の袖を捲り出した。
そこにはいくつか痣があった。
拓斗:「何だ……コレは!?」
一貴:「酷い…」
同じく大夢の痣に気付いた三条一貴くんが、悲しい表情で大夢くんの痣を見る。
大夢:「もうイヤだよ…。
"あのお兄ちゃん"、おれのことを叩くのー…」
大夢くんの言葉で、この場にいて初めて拓斗に怒りが込み上げてきた。
拓斗:「俺は…俺は絶対に、大夢にこんなことをしないっ!」
拓斗の怒りを目の当たりにした他の槐たちも、怒りに触れた。
大夢くんみたいな小さな子供に手を挙げるだなんて、一体どこの誰なのか。
福崎:「もう一度、一緒に暮らしたいですか?」
僕はそんな怒りが渦巻くなか、そう問い掛けると、大夢くんが訴えた。
大夢:「暮らしたい!パパとずっと一緒がいい!」
大夢くんの言葉に、武長くんが声を上げた。
武長:「そうだよ!すぐにでも引き離した方がいい!」
薫:「でも急に引き離したりしたら、母親が警察に訴えて2度と会えないようにすることもあるんじゃないですか?」
秋生:「それにそんなことをすれば、ここで矢神さん……たちが再会したこともバレて、俺たちも巻き込まれるだろ」
悠一:「でもこのままじゃ可哀想だよ…」
槐たちが口々に、大夢くんのことや自分のことで言い合いになっている時、僕は拓斗くんと大夢くんに言った。
福崎:「なら、"私の願い"を聞いてほしい」
その言葉に、他の槐たちも注目する。僕はこう言った。
福崎:「"八条"という名字の人間を殺してください。そうすれば、一緒に平凡に暮らせるように手を打ちましょう」
拓斗:「そんなことが、出来るんですか?」
福崎:「約束しましょう?」
僕がそう言うと、大夢くんが言った。
大夢:「やろう、パパ!
パパと一緒に暮らせるなら、おれ我慢するよ!」
拓斗:「大夢……。うん、やろう。一緒に、暮らすために……」
拓斗くんはそう言うと、大夢くんは改めて抱き締めた。
大夢くんはとても嬉しそうな顔をしていた。
僕がそんな2人の様子に満足していると、一条真幸くんが小さく手を挙げて聞いてきた。
真幸:「"貴方"に…この集まりの主催者に質問していいですか?」
福崎:「どうぞ。真幸くん」
僕がそう言うと、真幸くんは少し不安げな表情をしながら恐る恐る聞いた。
真幸:「貴方は僕たちを集めて、なぜ、何の協力をしてほしいんですか?」
隆志:「復讐…ですよね?」
2人からそう聞かれた僕は、いよいよ本題に入る時が来たことに小さく息を吐くと、言った。
福崎:「…僕にも復讐したい相手が"2人"いるんです。
でも僕の場合、ただ復讐をするだけではダメなんですよ」
僕はそう言うと、スーツの胸ポケットから一枚の写真を取り出して槐たちに見せた。
そう。水嶋さんの写真を…。
------------To be Continued...