話題:認知症
糞爺の奥さんは認知症なのだな
認知症はほとんどの場合がアルツハイマーなのよ
脳が萎縮してしまう病気
一度この病気になると治らないし、元には戻れない
以前は簡単にできてたことができなくなってしまう
最初糞爺に会った頃は、奥さんは施設に入ってると聞いてたけど、糞爺はこの奥さんを施設から出そうとしてたんだな
面会に行って喋ってても、どこも悪いようには思えないから、施設から出して以前のように自分の世話をさせたいって言ってた
馬鹿なのかコイツは、と思ったが、施設に入った原因は何?と聞くと「徘徊したから」と言うわけさ
それ聞いて、徘徊までしちゃうようだったら日常生活も無理だし、アンタの世話なんてできるわけねーじゃん、と言ったらね、糞爺は「そんな筈はない、お前の言うことなんて信じられるか!」と怒ったよ
ますますこの爺は身勝手な野郎だな、と思った
仕方がないから説明してやったよ何日もかけて
だがそれでも信じようとしないんだな
だから、じゃ俺と一緒に会いに行こうよ、奥さんがアンタの世話なんてできないことを証明してやるからってことにした
それで奥さんに面会に行ったよ
確かに爺の言うように、ただ話してるだけでは普通の人と変わらないような印象だった
だけど専門的な質問をしたら一発でわかっちゃうんだよね
そこで、奥さん、あなたのお年はおいくつですか?と聞いたよ
そしたら「73歳です」と答えた
では、ここにいらっしゃるあなたのご主人はおいくつですか?の問いには「私より5つ上だから‥」と言ったっきり、彼女の口からは新たな数字は出てこなかった
帰り道、車の中で爺は一言も喋らなかった
ショックだったのさ
奥さんは73歳と答えたけど、実際は82歳なんだよ(当時)
亭主が5つ年上なのは間違いないのだけど、その年齢が言えなかったのを見て爺はガックリきちゃったのだな
奥さんは壁に掛かってた大きな丸い時計が示していた時刻も読めなかったよ
認知症の人は数字に弱くなるんだよ
静かな車内でまた俺の説教が始まるわけだ
アンタの奥さんはもうああいう施設からは出られないし出さない方がいい
管理されてるから元気そうに見えるのであって、認知症は確実に進んでる
無理矢理出そうとしても老老介護になっちゃうから、多分許可が出ないと思うよ、ってね
それから、ここまで言う人はいないと思うが、奥さんはもう居なくなったものだと思って、自分の残りの人生をちゃんと考えた方がいい、とも言ってやった
奥さんに頼りきった生活をしてきた人には酷な言葉だったとは思うが、病気になっちまった人にいつまでも依存しててもね‥
認知症ってのは昔の言葉で言うとボケ老人だよ
ボケちゃった人は新薬が開発されない限り元通りにはならない
その新薬も近い将来出てくるかも知れないが、認知症の進行を遅らせるくらいしか効果がないと思われる
脳みそってところは大事だから、そこが壊れちゃうとなかなかね‥
その奥さんを外泊させた時は大変だった
その時の俺、疲れてぶっ倒れちゃったもんな
爺のやつ、「なんでそんなに疲れたの?」なんて言いやがって、ムカついてしょーがなかった
この爺も発達障害なのではないかな、ひとの苦労がわからない人
糞野郎もいいとこ