話題:お買い物


山田の店員さんと買い出しに行った時の話

「最近顔を見てないぞ」と商店街の魚屋の若主人から電話がかかってきたもんで、慣れてない店は嫌かなと思ったけども、彼女を商店街に連れて行った

一番最初にその魚屋さんに行ったんだけどさ、売り出しの日なのに閑古鳥が鳴いておった

常連客は早い時間帯に買いに来るらしいが、午後から閉店までの時間は客が来ない日があるそうな

そこに現れた俺とカワイコちゃん

若主人は嬉しがっちゃって、対応がちょいとウザかった

商品を見てる時に引っ付いて来やがって、ちょっと離れてよ!と言っちゃったくらい

この店は鮭の切り身が大変美味しいので、まずはそれを買った

山田の店員さんに、好きな物は何かと尋ねると「私、鱈子が好きなの。鱈子があれば他に何も要らない」と言うのだな

その言葉が聞こえたのだろうね当然

若主人が「鱈子?オッケー」と叫び、冷蔵庫の中をガサガサやり始めた

そして、いつ仕入れた物なのかわからないが、パックされた鱈子をいくつか出してきた

数えると、1腹入りのが11パックあった

若主人は電卓をカチャカチャ操作して、「全部で2,618円だから、2,600円でいいや」と言った

こんなに沢山買わせて18円しか引かないのかよ!とガッカリしたように言うと、若主人は「そうだよな…」と俺に同調したような言葉を発したが、その後は黙った

大体、こんなに沢山は食べられないじゃない!と追い打ちとかけたのだが、山田の店員さんたら「私、食べれるよ」と小声で言った

その声を聞き逃さなかった若主人

「ほら、食べれるって言ってんじゃん。包んでいい?」と勢力を盛り返した

ホントに食べられるの?と聞くと「だってあなたと半分ずつでしょ?」と

半分ずつじゃなくて、俺は1パックでいいよと答えると「え、じゃ私10パックか」と言ったと思ったら、すぐさま「余裕!」と続けた。

しかも大きな声で




という訳で、11パック買わされてしまった

さらに引いて2,550円にしてくれたので、まあいいけども

古臭いニオイはしなかったので、そこは良かった

彼女はその日と次の日で3パック食べたそうな

熱い白米の上に乗せてね

「残り7パックしかない」と、少し悲しそうに言っておった

1年で7パックも食べない俺から見ると、相当変わってる娘だと思った

でも、こういう食の癖(へき)を見せられると、かなり親近感は湧くわね

その7パックがなくなる頃にまた商店街に行く約束をした神田でした