甘ちゃん


話題:友達


昨日、糞爺に三途の川を渡る準備をしてもらって休みを取った神田です

実際はピンピンしてるけど、他に理由が思い付かなかったから仕方なく

それで御曹司家に乗り込んだ

まずは話を聞いてやろうと思って

最初は眠そうな目をして静かに話していた御曹司

だが、持参したラーメンを見せて一緒に食べ始めると、一気に明るくなった

中学生の頃は、毎日食べてたんだよね

麺に味がついてるからそのままでも食べられるのよ

金持ちはこういうの知らないから、中坊御曹司は物凄く興味を持ったんだよ

その頃のことを思い出して2人で笑った

笑い声が聞こえたのかな、御曹司ママがニコニコしながら紅茶と高級洋菓子を持ってきてくれた

その時御曹司が「冷たいの持ってきてよ!」とママに、怒ったような口調で言ったんだな


驚いた

母親に対して、そんな強い口調でものを言う御曹司をこれまで見たことがなかったから

俺が知ってる御曹司は、両親から何を言われても口答えせず素直に従い、いつも穏やかな感じでね

優し過ぎる気はしたし、親が用意した安全地帯から出たことがないから、辛い局面に立たされた時にどのように切り抜けるかってのは少し心配していたけど、何とかするだろうと思っていた


あとでママから聞いた話

まずは仕事上の失敗が重なったようだ

大事な資料を入れた鞄を電車の中に忘れてしまった、とか、反対方向の電車に乗ってしまい、集合時間に間に合わなかった、とか

それで自動車通勤にしたはいいが、事故を1ヶ月に2度やっちまったらしい

事故の後は親父さんが車を取り上げたようで、それで会社に行けなくなったのだ

毎朝出勤するフリをして、どこかで時間を潰していたが、それも面倒くさくなって今に至るってところだ



幸い、鬱までは行ってなさそうではある

だが、ネット中心の生活になりつつあって、すぐに意識を変えるのは難しい

働かざる者食うべからずって言葉を知らねーのか!と、強く言ったところで、ママが囲ってしまうだろうからね




引きこもり御曹司を元に戻す方法はあるにはあるのだが、協力者が必要なんだよな

俺の言うことをバッチリ聞く女がね

1人いることはいるが、面白がって協力してくれるといいのだが…


つづく


車内


話題:私の車


スティングレーが我が家に登場してから初めて乗った神田です

愕然とした

車内が汚かったのだ

空のペットボトルが床に何本も散乱してるし、何を入れてあるのかレジ袋が沢山あった

特にびっくりしたのは、ゴミを入れるレジ袋がシフトレバーに引っ掛けてあったこと

袋の中を覗くと、コンビニおにぎりの包装フィルム、飲み物の空き缶や空き瓶が入っていた

一応分別してるつもりなのか、袋は2つにしてあったけど、重たい物入れた袋をこういう所に引っ掛けんなよと思った

シフトレバーに袋を引っ掛けるの好きじゃねえんだよ

見た目悪いし、助手席に座った人にだらしない奴だと思われそうじゃない

だから一旦取り除いたよ

でも次に乗り込んだ時にはまた引っ掛けてあった

もうやめてー!と声を大にして言いたい

だが、犯人はオヤジで、オヤジのやることには目くじらを立てないようにしてるから、渋々そのままにしておいた



実は俺ね、シフトレバーにレジ袋を引っ掛ける女が苦手なんだよ

自分の車だったら好きにやってくれと思うけど、俺の車の助手席に乗って、俺の車のシフトレバーに袋を引っ掛ける女がいたんだよ

助手席の右前方にコンビニフックがあるのにもかかわらずだぜ?

そこに引っ掛けると、自分の足に当たることがあって嫌なのかも知れないが、だからってシフトレバーに引っ掛けていいってことにはならないじゃない?

別れた嫁さんがそうだった

次に仲良くなった女達もそうだった

ゴミが発生しても、膝の上にでも置いといてくれたらいいのによ

それか俺が気づけば、それを受け取って後部座席の足元にでも置くよ

とにかく、シフトレバーはそういう物を引っ掛ける所じゃないから

引っ掛けてあっても操作ができなくなるわけじゃないけど、でもそこはよく触る所だから、余計な物はどかしたいと思うのだ

だからなかなか彼女ができないのだな

でも譲れないこともある!



依頼


話題:家族


友達の御曹司について語る回

今、彼は仕事を辞めて家に籠ってるらしい

就職先で使えない奴というレッテルを貼られたのか自分で貼ったかはわからないが、働く気持ちがなくなって、生きていく自信をも失っている状態なのだそうな

「兄と家族を助けてほしい」と御曹司妹から頼まれた

家業を継がせるつもりだった息子の様子がおかしくなったら、そりゃ親も大変だわな

将来の構想が狂っちまうもんな

御曹司家はうちみたいな庶民階級じゃないから、出来の悪い家族構成員を外の世界から見えないように隠してしまう傾向がある

だから御曹司妹もこれまで俺に言わなかったんだ

もっと早く言ってくれりゃ、今よりは簡単に治してやれたかも知れないのに…


ちなみにうちのオヤジは、日常生活はまともに送れるところまで回復した

妹が傍について構ってやったのが一番良かったのだと思う

俺は、楽しいことが多いような生活を演出することに努めた

フルタイムで働くことはまだ当分できないが、好きなことを長時間続けられるところまでは来た

精神疾患は完治までの道のりが見えないし長いしで、本人はどう思ってるか知らんけど、家族は大変苦労する

一番の近道なんてわかりゃしないから、効果があると思ったことをやってきただけなんだけどね

一緒に旅行に行ったりして、オヤジの回復具合を見てきた御曹司妹

俺に頼れば何とかなると思ったのだろう




それともうひとつ

御曹司が家業を継げないとなると、彼の妹がその役目を果たさなければならなくなる

でもそんな風に育てられてないんだよな

「私と結婚して、家業を手伝ってほしい」とも言われた

けっけけ結婚!?

冗談じゃねーよ

家業を手伝うのはしょうがない状況ならやってやるが、結婚は考え直せ、と答えた

結婚は考え過ぎだよ

ときめく出会いと付き合っている間の楽しい時間がないと、その後結婚しちゃ駄目だよね

女の子は夢を見ながら成長し、そしてその夢と現実をどう繋げて行くか考える時間も大事だからね

てなこと述べたら、一生懸命考えてきたことを否定されたからか、御曹司妹は涙を流した

おーよしよし、って慰めなきゃならなくなった

涙を拭う箱ティッシュを彼女の膝の上に置き、面白がるかなと思い、貯蔵してあった清見を出してやった

新鮮な清見は皮が固いから手で剥きにくいんだよ

だけど、しばらくほっといて水分を飛ばすと皮が柔らかくなって手で剥きやすくなるのよ

そして味も濃厚になるし

素人が貯蔵したものは皮表面に黒い部分ができて、若干見苦しい見た目になってしまうのだけど、熱い透明の液体で覆われた瞳ではよく見えないだろうと思って皮を剥いてやった

そして2人で食べましたとさ

するとじきに御曹司妹は泣き止んだ

その後、わざわざ持ってきてくれたハーフサイズのエクレアも譲った

「これは神田君の分だから…」と断る彼女に、兄貴を再生させれば全て丸く収まるんだろ?と言ってやったら、御曹司妹は「うん」と頷き、俺を暫し見てからエクレアを自分の口に運んだ

そして最後は声を出して笑っていた




話を聞いただけだけど、御曹司を再生させるのはそんなに難しくないような気がした

子供の頃からの付き合いだから性格は把握してるしね

そこから計画を練った神田でした


つつぐ


北海道はでっかいどう


話題:旅行計画


ようやく休みが取れた神田です

家に帰るとオヤジと妹と御曹司妹が楽しそうに話してた

テーブルの上に地図を広げてね

見ると北海道の地図だった

夏休みは北海道に行くんだと

今年の夏は猛暑の上のスーパー猛暑になるらしいから、涼しい場所を目的地に設定したい気持ちはわからないではない

だが、俺がまだ一度も行ったことのない&行きたくても行けなかった北海道に、いとも簡単に行こうとするのはどうかと思ったり

しかも俺のボーナスを当てにしてるのだよ

春から働き始めたんだからそんなに多くは出ないと思うぞ、と言ったのだが、妹はニヤニヤしやがる

ま、今回はうちの分だけ出せばいいみたいだから大金は必要ないと思うが、初めて貰うボーナスを狙われるのは気分よくない

でも、みんなの前でブツブツ言うわけにはいかないから黙ってた


新幹線で行くみたい

函館までしか行かないみたい

どうせ行くなら、もう少し内陸部まで足を伸ばせよと思ったけども、聞いてると新幹線に乗って北海道の地に立つことが今回の旅の目的のようだった

それと新鮮な海産物を食べること

いいわね、暇な人達は




御曹司妹が来るの知らなかったので、午前中買いに行ったエクレアとシュークリームの数が足りなかった

まあ俺は食わなくても問題ないので、そのままテーブルの上に出して自室の布団に寝転んでいたらだね、なななんと御曹司妹が半分に切ったエクレアを持ってきてくれた

ちゃんとお皿に乗っけて

ついでに麦茶も

ちょいと2人で話したいことがあったみたい

その内容は衝撃的でござった


つづく



ミルフィーユ


話題:おやつ


ケーキじゃなくてトウモロコシの話

たまたま家に帰った日のこと

トウモロコシを買って帰ったのですよ

その名も『ミルフィーユ』

トウモロコシは黄色い粒だけのと白い粒だけのと黄色と白い粒が混ざってるのがあって、これは混ざってるタイプ

いつだったか軽井沢に行った時に生で食べたことがある

生でも甘くて美味しいのだよ



今回、このミルフィーユ、俺の口には入らなかった

茹でて写真を撮り、冷ましている間に寝てしまったのだ

割っておけばよかったのだが、2本だけとなると、これを見た人は2人分だと思っちゃうよね

起きてきたら消えていた

うちの家族、優しくないんだよね

その場に居なきゃ食べる権利は無いって考え

3本買えばよかったのだが、2本しか売ってなかったのだよ



そしていつものように感想を聞いた

2人共、甘くて美味しかった、と

もうちょっと、なんて言ったらいいかな、「甘さが口の中に広がって、トウモロコシのイメージが変わった!」みたいに、買ってきた人が喜ぶようなこと言えばいいのによ

こういうところも優しくない証拠



優しい女の子いないかな

とは言え、最初は優しくても一緒に住むと、そのうち優しくなくなるんだよね

知ってるんだよ俺



次は人数分確保できる物を買おうと思った神田でした


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