話題:友達以上恋人未満


ビキニがモデルをするってんで、一度くらい見ておくかとアマチュアカメラマンの撮影会に行った神田です

荷物持ち兼運転手兼マネージャーの役

相性が合わないエロカメラマンが来る日だったらしく、ビキニは俺に睨みを利かせて欲しいようだった

だから断れなかったよ

ポルテは妹がどこかに乗って行ったので、この日はココアで行ったんだけどね、でもそのココアがカメラマンに気に入られて、ビキニが車の横で色んなポーズをする場面も写せたと喜ばれたし、エロカメラマンからもエロポーズを要求されなくてよかった

撮影会はとても和やかに進み、別に何の問題もなく終わった

ビキニは解散前に「今日は彼氏が来てたからか、ビキニちゃんイイ顔してたね!」と初老のカメラマンにほめられてた

ビキニは『彼氏』という言葉に敏感に反応するかと思ったが、その時はウフフと笑って流すと言うか、肯定もせず否定もせずだった

だが、帰りに車の中で小爆発を起こした

「私にとって神田くんって何?」と聞いてきたのだ

神田くんにとって私って何じゃなくて?と聞き返すと、「同じだよ」と少し不機嫌そうに言ったビキニ

何て答えようか悩んだ

ポジション的には『恋人』と言って構わないくらいの距離感は保ってるんだけどね、俺がまだ次の恋愛に進めないんだよな

それは前の女がまだ好きとかそういうことじゃなくて、恋愛そのものに魅力を感じなくなってるのだな

離婚の際にエネルギーをかなり消耗して、恋愛とか女に対する気持ちを保つことができないほど疲弊しちゃってるわけだよ

次の恋愛が前の恋愛の辛さを癒やしてくれるってのもわかるんだけど、そこまでも行けないほど心身共に疲れ果ててるのよね

時間がたてば多分元通りの女好きになるとは思うけど…、てな現状なのだ




俺は黙るしかなかった

もう少し時間をくれ、と言ったらどうなるか読めなかったから

離婚する前は次の嫁さんはビキニにしようと思ってたんだけど、今は誰とも付き合いたくないが本音なのだ

だがそんなことは通らないと思ったし、誠実ではないとも思ったし…

車内で暫く沈黙が続いてしまった

その後ビキニが自ら噴火を止めてくれたからよかった

話題を切り換えた方がいいと思ってくれたのか、「今日暑かったから何か冷たい物が飲みたくなっちゃった」と彼女は言った

コンビニに寄る2人

圧倒的に口数が少なくなってしまった俺に対して、ビキニは色々話し掛けてくれてたけど、今はその内容は覚えてない

別れ際は明るく手を振れたとは思うけど、心に雲がかかったまんまの神田でした