話題:浮気


その日は最後まではいかなかった

ぐちょぐちょの最中に糞爺から電話が掛かってきたんだよ

翌日の食べ物を買い忘れた、と

夏期講習中は俺が忙しかったから、爺さんの食事は日を決めて届けることにしてあった

丁度翌日は届けなくていい日にあたっていて、爺さんが自分で弁当なり何なりを調達することになってたんだよね

こういうことはこれまでも何度となくあった

約束が100%は守られないから、俺の予定もズレるし調子も狂っちゃうのだな

この年寄りの世話が俺にとって何よりも一番のストレスになっていて、家に帰って愚痴をこぼしたくてもこぼす相手がいないことも辛かった


女将さんがお好み焼きを焼いてくれてる時に、その愚痴がポロッと出ちゃったことがあるんだよ

その時ビキニ娘がすっと立ち上がって店内から消えた

帰るまでずっと顔を出さなかったのだが、店を出る時にタッパーを3つ持たせてくれたよ

中身は肉豆腐と野菜炒め、それにごはん

ラッキーだと思った

その時は早起きしなくて済むとだけ思ったんだけどね、届ける前に味見をしたら、これがまた凄く美味かったんだよな

店に出しているおかず類より薄味にしてあった

店の余り物を詰めてくれたと思ってたから、単にラッキーだと思った自分が恥ずかしかった

今思えば、そこから俺の頭の中のビキニ娘の存在が大きくなっていったのだ

機会があればおっぱいを揉みたいと思ってたもんな

おっぱいを揉めばどんなことになるかわかってはいたが、今の環境では誰も俺の暴走を止めることはできない



女がホテルと言ったのは、シャワーだけ貸してくれるホテルがあるんだよ

だからその時はこんな関係になるとは思ってなかったと思う

俺がそっちの方に持って行ったんだ

心の隙に入り込んだのかな


脱力感が勝って横になった後の記憶がないから俺は先に寝たのだろう

起きたら隣で女が寝てた

爺さん宅にコンビニ弁当を運び、戻ってきたら部屋が片づいていた

女は「お帰りなさい」と笑顔で優しく言ってくれたよ

凄く聞きたかった言葉だったから感激しちゃった



次に会ったらやることになる

拒絶されなければやってしまうだろう

でもその後恋人同士にはなれない

必ず終わりが来る

それも俺側の理由で

不幸にしてしまうかもね


「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」「お疲れ様」のどれか1つを聞いたら抱きしめちゃうだろうね

重くて見えない馬車を引かなくてもいい馬になりたい