Part-time LoverA


話題:ほんのりえっちなお話。


エリの身の上話は暗いような重たいような‥、そして「遊んでくれ」というのは自分勝手のような気がしたが、その時はどう返事していいのかわからなかった

なので、この変な雰囲気を断ち切るために、エリを近くのパスタ屋へ連れて行った神田

そこで好きな物を食わせて酒も飲ませれば、明るい気分になって少しは違う話ができるかと思ったのだ

店内では、運ばれてきた料理の味が気に入ったのか、学校近くのパスタ屋や別の店の話をしたり、エリの得意の同性中傷話に花が咲いた

だが店を出て帰ろうとした時に「腕組んでもいい?」と言い出したのだ

周りにはカップルが多くてね、そいつらのほとんどが手を繋いでいたり腕を絡めていたのだよ

軽井沢で同じことを言われた時は「1回5百円」と言ったら「うわっ、有料!?」というようなやり取りをして楽しかったのだが、この時は何も言えなかった

何も言わないというのはオーケーでもノーでもないわけで、手をポケットに突っ込んだ状態の俺の右腕をエリは掴んできた

「だって歩くの速いから」と呟きが聞こえた

〜(中略)〜

ベッドにはきれいに洗ってあるシーツを敷き、カバーが見つからなかったので枕にはバスタオルを巻いた

「寝ていいぞ」と言ったら、エリがそれまで着ていた服を脱ぎ始めたので、部屋から一目散に逃げ出した神田

だが後ろから追ってくる足音が!

振り向くと上半身下着姿の女がいた

俺が突然止まったがために、必然的にエリを抱き止める形に!

動きを止めたエリはキャッとかなんやら発していたが、恥ずかしそうにするでもなく急に『だっちゅうのポーズ』をとり、「ほら、あるでしょ?」って言ったんだよ


つづく



Part-time Lover


話題:友達以上恋人未満


昨日は涼しかったので時間を忘れて草むしりをしてたら怒られちゃった神田です

電話が鳴ったもんで出たらいきなり「神田マンの午後とは何時のこと?」と女の不機嫌そうな声が(^^;)

時計を見ると15時を少し過ぎてた

大慌てで支度して、その声の主を迎えに行ったよ

ピンポンを押したらきれいな御婦人が出てきて、「あら、あなたが神田マン?」と

家でも神田マンって言ってんのかとおかしくなって笑い顔で「はい」と答えると、「神田マンが迎えに来たよ〜、早くしなさ〜い」と家の中に向かって叫ぶその御婦人

すると奥の方から手提げ袋を持った見慣れた女が現れた

「今日泊まるかも知れないから晩御飯いらない」という声がして「えっ!?」と驚いたが、「うん、じゃあ気をつけて」と落ち着いた口調でその御婦人が言ってたから、あ〜俺とは関係ない話かと思っていたら、近づいてきた女が耳元で「今日泊めてね」と囁いたのだ

再び「えっ!?」と驚いたが、袖を引っ張られて道の反対側に停めてあった車まであっという間に強制連行されてしまった

玄関先でさっきの御婦人が手を振っていたので、軽く会釈をして車に乗り込むと、先に乗っていたエリが「今日は家にいられないの、ゴメンね」と言ったのだ

〜(中略)〜

昨日は遅い時間からのスタートだったために道路の混雑に負け、郊外まで行った時には外が薄暗くなっていた

「ほんとは横浜に行きたかったのになっ」と言うエリに対して「ごめんよ」と言うしかなかった神田

頭の中でずっと、今日どこに泊まるつもりなんだよコイツ‥、という台詞がぐるんぐるん回っていたから

その問題が解決しないとまともな会話ができないと思って、今日泊まるってどこに?と聞いてみた

するとエリは「ホテルでもいいし、神田マンちでもどこでもいい」と答えた


あっそう、とだけ発して、俺は来た道を戻った

エリを泊められるのは神田家(実家)か別荘(空き家)しかない

そのどっちがいいかを尋ねても、さっきと同じような返答になるだろうと思ったので、取りあえず草を抜いて庭をきれいにした別荘にエリを連れて行った

〜(中略)〜

2人でお茶を飲んでいたらエリが突然「今日はうちに男の人が来るの」と言ったのだ

エリの親父さんは北関東の方に単身赴任していて、いつもは家にはいないことは聞いていた

男の人って?と聞こうとしたと同時に「母の職場の人なのかな、たまに来てお酒を飲んでくの」と

両親の仲があまりよくないのかもと思って「そうか、それでか」とだけ答えておいた

それからエリは身の上話をし始めた

子供の頃から今までのことを、たまに冗談を交えながら比較的明るい口調で

そして、何年もの間ずっと忘れたくても忘れられない、お母さんから言われたという言葉を発したのだ

『あなたを作ろうとは思ってなかったし、産むつもりもなかった』

エリ家には年の離れた兄と姉がいて、そこでもう子供は打ち止めの筈だったのが、自分ができてしまった、という話

だからか、上の2人と違って手を掛けられずに育てられた、とも言っていた

その話と男の人が来るという話に共通点があるのかどうかはわからなかったが、俺が何か言うには材料が不足していたため、その時は「そうか」としか言えなかった

暫く沈黙のあと、「彼女と遊ばない時だけでいいから私と遊んで!」とエリが言ったのだ


つづく


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