ぼくのともだち。 5 ※R18?くらい
※小鳥物語なのにR18(それほどでもないけど)。もちろん鳥とプレイするわけではありません(笑)
ミズサカでいちゃこらしています。ぴーこ目線なので覗き見してる気になれるかもです。
そんな悪趣味なー!と思われる方は引き返しください。
OKな方はどうぞー
栄口と水谷は恋人同士。
認めたくはないのだけれど、事実なのだからしょうがない。
それに栄口が選んだ相手を悪く言うのは、栄口自身を貶めるのと同じことだ。だから栄口が水谷を好きだというのなら水谷のことも正当に評価しようじゃないか、とも思う。
そして恋人ならキスするのも当然といえば当然……とは思うんだけど、水谷は何回キスしたら気が済むんだと呆れるくらいキスをする。
ほっぺにちゅ、とか軽いキスも含めると、30分に1回はしているような気がする。
水谷は今実家に戻っていて、そこそこ距離があるからあまり栄口に会えないというのもあるんだろうけど、それにしたっていちゃいちゃしすぎなんじゃないだろうか。
それでも、栄口が「やめろ」なんて言いながらも嬉しそうなので、まぁいっか、と思ったりもする。
ただ…どうにも我慢できないことだってあるのだ。
そりゃ僕たち鳥と違って、人間は一年中発情期なわけだし?しかも二人ともお年頃なわけだし?
恋人なんだから二人きりになればこうなるのは当たり前、といえば、当たり前、なんだろうけれど…だけど……。
小さな灯りに照らされた暗い部屋の中、聞こえてくるのは、シーツの擦れる音と水音のようなリップノイズ。そして栄口の上ずった声。
「…はぁっ…ん、もう…イキそう…」
「まだダメ。もうちょっと我慢して」
「……え…?…あっ!」
息を呑んだ栄口の喘ぐ声がだんだんと高く短くなっていく。
「んっ、も、ぉダメ・・・っ…手…離して…!」
「まだだよ」
「や、あっ…も…やだ、ぁ…」
泣いているような栄口の声を聞いていたら、なんだかカッとなってきた。
なにが腹立つって、水谷のやつ、いっつもへらへら、ふにゃふにゃしてるくせに、なんでいこういうときだけ、やけに強気なわけ!?
しかもエロい!なんだそれ、焦らしプレイってやつか!?
暗いから見えないけど、栄口があんなこと口走るなんて、なんかエロいことされてるにちがいない!
くっそー!なんだかいろいろ許せーん!!
「ぴぃーっ!ぴぴぴぴぴぴぴ!!!」
羽根を思い切りばたつかせて、くちばしで金網を叩きながら、足でがしゃがしゃとかごの扉を揺さぶる。とにかくありとあらゆる音をたててやった。羽根は抜けるし、柵で鼻は打って痛い。
それでも僕はやめてやらないんだからなー!!邪魔してやるんだからなー!!
「………ちょっと…ぴーこ…うるさい…」
水谷の呻くような声が聞こえて部屋が明るくなった。僕の視界も開けてきてベッドの上で栄口がごそごそと布団を手繰り寄せるのが見えた。
いきなり明るくするなよ。栄口が恥ずかしくなるだろ。…っていうか、おまえはもっと恥らえよ!
裸でかごの前に仁王立ちしている水谷が「なにが気に入らないのかなぁー」と腕組みをして僕を見下ろした。
なにが気に入らないって、お・ま・え・だよっ!!
「もー。おとなしくしといてよー……」
ため息をつきながらしゃがみこんだ水谷が柵の隙間かあカゴの中に不用意に指を突っ込んできたので、思いっきり噛み付いてやった。
「いっってぇぇぇぇぇっっっっ!!!!」
顎の力が弱かったヒナだった頃と同じと思うなよ。ざまーみろー!!
「だ、大丈夫…?」
「ゆ、指…指に穴が開いた…」
穴なんか開くかー!へこんだだけで血も出てないだろ。
それなのに「見てー」と水谷はごそごそとベッドに上がり栄口に擦り寄って手を見せた。
「ほら、ここ。ぴーこってばオレばっか噛むんだよ。ひどい…」と抱きついて栄口の肩におでこをこすりつける。
「あはは…ごめんな」
と栄口が髪を撫でると水谷はとろけそうなほど嬉しそうに笑い、またぎゅーっと抱きついた。
むきー!腹立つー!甘え方が腹立つー!水谷はずるい!
ぎゃーぎゃー騒いでたら「なんだろ…音とか気になるのかな…?」と、栄口がかごに毛布を掛けた。
あー!真っ暗!ひどい!僕だけ仲間はずれ!?(そんなの最初からだけど)って憤慨する。
しばらく鳴き喚きながらかごの中をバサバサ暴れてみたけど、諦めておとなしくすることにした。
水谷の邪魔はしたいけど、栄口には嫌われたくはないから。
暗くなったかごの止まり木の上で僕は考えていた。
もし僕が人間だったら、僕と栄口はどんな関係だっただろう?
栄口のことは大好きだけれど、きっと、恋人にはならなかったんじゃないのかなぁと思うのだ。
僕は自分がどこの誰から生まれたのか知らないし、あのホームセンターのヒナ用水槽の中より前のことは覚えていない。
それでも寂しくなかったのは栄口がいてくれたから。
栄口が一生懸命育ててくれたから。僕のことを大事に大事にしてくれたから。
僕の好きはお父さん、お母さんを好きなのと同じなのだと思う。
水谷の好きと、僕の好きは、似ているようで全然違う。
だから水谷とはもともと勝負にすらならない。
ホントはね、水谷がいるから栄口が幸せなんだってことはわかってるんだよ。
本気で邪魔する気なんてないんだ。
でも栄口を取られることにかわりはないのだから、少しやきもちをやいたってかまわないよね?
それくらい、栄口なら許してくれると思うんだ。
しばらくすると二人の話し声は聞こえなくなった。きっとさっきの続きをはじめたんだろう。
僕は目蓋を閉じて、二人のためにいちおう眠ったことにした。
毛布をかけてもらっても、いろいろ…かすかに聞こえるけど大目に見てあげる。
しょうがないよね。だって、二人は恋人なんだから。
[次へ]
[前へ]
[Topに戻る]