今年は3年ぶりに香川県と岡山県の島々などで「瀬戸内国際芸術祭」が開催された。
今回は塩飽の島々も短期間ながら開催会場になり、普段は静かな島に島が沈んでしまうのではないかと心配になるくらい(笑)沢山の人が訪れた。
そんな開催地で、お客様が船に戻ってくると芸術鑑賞について様々な感想を私におっしゃってくださるが、その感想の一つに「こんなに歴史と由緒のある集落や建物に何故こんなにも似つかわしくない芸術作品を作ってしまうのか?もっと島の歴史や景観に沿った作品にはならなかったのか?」との意見があり、私はその意見に色々と考えさせられた。
先日、私の住む町並み保存地区で「観光資源を増やすためにパワースポットを作る」協議と、我が集落を訪れた観光客に対して行ったアンケート結果の報告があった。
結果よりも気になったのは、アンケートの実施者が建物修復や都市計画の研究者だったので、観光に関しての専門知識が乏しいために結果の正確な分析ができず、また報告を受けた我々住民も観光に関しての専門知識が乏しいために理解に苦しんでしまい、アンケート結果を生かした方策を立てる事ができない。
実施者は別に観光学の資料収集をしていたのではないのだから、観光学の知識は要らないとの声も理解できる。
しかし、調査対象が観光客である以上、観光に関する基本知識が無いと、いずれにしても正確な分析はできないだろう。
ここで浮上した実施者と地元住民の問題は、世界遺産と一緒で「町並み保存や世界遺産の登録は観光客誘致のためにやるのか?」と、本来の目的を見失いがちで、でも避けては通れないながらもできれば避けたい、中々答えの出せない永遠の課題だ。
どちらも本来は観光地を作り、整備するための制度では無いはずだけど、指定されれば黙っていても観光客は来る。
では、「観光客」ってどんな人で、「観光地」ってどんなところなのか?指定地区に住んでいたり関わっている人は即答できるのだろうか?
少なくとも私はできない。(笑)
生活する人が居ての「町並み保存」であり、そうでなければテーマパークになってしまう事は町並み保存地区の基本的共通認識だ。
しかし、もし集落の過疎が進み、誰も住まなくなった時の事を行政も含め誰も想定していない。
離島補助航路と一緒で、近い未来の問題に誰も対策を立てようとはしない。
そんな問題に瀬戸内国際芸術祭は一つの解決策を提示してくれた。
集落の住民が5人以下になれば、諦めて外部の力を借りてテーマパーク化をすれば良い。
事実、今回の開催地の一つはかつて町並み保存地区の申請を検討しながら申請しなかった集落だ。
私は産まれ育った町を安売りすべきではないと思う。
しかし、いつか苦渋の決断をしないといけないのかもしれない。 テーマパーク化をすれば良い。
事実、今回の開催地の一つはかつて町並み保存地区の申請を検討しながら申請しなかった集落だ。
私は産まれ育った町を安売りすべきではないと思う。
しかし、いつか苦渋の決断をしないといけないのかもしれない。