俳優の竹中直人・山田孝之・齊藤工が、映画監督として長編映画『ゾッキ』を共同制作することが明らかになった。”孤高の天才”と称される大橋裕之氏の同名漫画を実写化。2021年の全国公開に向けて、来月より大橋氏の生まれ故郷・知県蒲郡(がまごおり)市で全編オールロケをスタートさせる。
映画監督として、[119 [サヨナラCOLOR]などを手がけてきた8作目となるベテランの竹中サン、[blank13][COMPLY+-ANCE コンプライアンス]に続き劇場公開長編3作目の工サン、映画作品初監督となる山田君。俳優として第一線で作品至上主義を徹底し、その上で枠にとらわれず、映画監督、プロデューサー、クリエイターとしても表現している3人が一丸となり、今後発表となる多彩なキャスト・音楽など、それぞれのこだわりや人脈を集結させて、いままでにない日本映画を作っていく。
大橋氏は[TV Bros.][EYESCREAM][CD ジャーナル][フットボール批評]などで多数連載を持つ、人気の漫画家。シンプルな線、半円や三日月で描く「目」、愛らしく奇怪な画風。何気ない日常の独特のおかしみや、人間の優しさをシュールに物語り、その唯一無二性から、“孤高の天才”と称される。かつてない感覚で、大人の読者からは、若かりし日々の瞬間の感動や衝撃が記憶の片隅から蘇えると支持される。公開中のアニメーション映画[音楽;岩井澤健治監督]は大橋氏の作品が原作。自身はテレビドラマや映画で俳優デビューも果たしている。
そんな大橋氏の傑作『ゾッキ』に惚れ込んだ竹中サンが、「絶対、実写映画化したい!」と強く熱望。映画監督として工サン、山田君にオファーし、3人の監督による共同映画制作がスタートした。
原作[ゾッキA][ゾッキB]は、大橋氏が2017年に発表した幻の初期作品集[ゾッキ;カンゼン]。[謎漫画作品集][週刊オオハシ]などの自費出版漫画集、漫画誌などに掲載された活動初期の作品を上下巻にわたって収録している。
<ゾッキ>の語源は「寄せ集め」「ひとまとめにした」という古本用語。古本市場で使われる特殊用語で、安い価格で売られるひとまとめで束ねられた「ゾッキ本」からきている。原作『ゾッキ』の独特な世界観をどう実写に落とし込むのか、期待が高まる。
脚本は、監督たちの感性や原作の作品性を大切にまとめ、岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家兼演出家の倉持裕氏が担当。村上春樹氏原作の舞台化作品で話題となり、映画脚本にも進出。昨年公開された[十二人の死にたい子どもたち;堤幸彦監督]が大ヒットを記録し、今映画界からオファーが絶えない脚本家の一人となっている。
そして、3人の監督は、『ゾッキ』を生んだ原点の町、大橋氏の生まれ故郷、愛知県蒲郡市で撮影することにこだわった。蒲郡は「海のまち」と呼ばれ、ゆったりと広がる穏やかな三河湾や山々、情緒ある風景がある豊かな所。ラグーナテンボス、竹島、4つの温泉郷、ボートレース蒲郡など、観光スポットも充実している。山田君は先行単独で蒲郡市に入り、ロケ地の視察や現地の方と交流をして準備をしてきた。蒲郡市は行政・企業・民間から組成される「映画『ゾッキ』蒲郡プロジェクト委員会(仮)」を100人規模で発起。撮影協力にとどまらず、委員会メンバーを追ったドキュメンタリー制作や、出演者オーディションの開催、映画とコラボレーションした商品開発、エコ・チャリティー活動を取り入れるなど、新たな映画製作の取り組みにチャレンジし、来年の公開に向けて映画『ゾッキ』を盛り上げていく。
撮影は、竹中サン、山田君、工サンが3分割で行い、俳優陣の出演交渉もそれぞれ自ら行う熱の入れよう。共同監督が決まってから懇親会でプランを話し合うなどチームワークも抜群で、製作側は「豪華な布陣」と胸を躍らせる。
▽竹中直人監督コメント
まさかこんなときがくるなんて…
大ファンだった大橋裕之さんの作品を映画にすることが出来るなんて…
まるで夢のようなできごと…
夢のまたゆめのようなできごと…
ぼくが感じた大橋さんの世界をどこまで映像化出来るのか…
この思いに集まって来てくれた方々と夢中になって作ります!
▽山田孝之監督コメント
初めてゾッキを読んだ時の衝撃、感動、恐怖、希望。それらを自分なりの表現で伝える。怖くもあるけどゲボが出るほど楽しみです。監督のイメージはあるものの監督をしたことがない僕ですが、竹中監督、齊藤監督と協力して心を刺激する作品に仕上げたいと思います。
▽齊藤工監督コメント
監督陣がやや派手な門構えに見えるかも知れませんが、作品至上主義の映画人が集まっていて、大橋裕之さんの最高過ぎる原作に忠実に、かつ実写ならではの裏切りを行いたいと思っております。このプロジェクトの発起人である竹中直人さん、そして、この作品に関わるきっかけをくださった前野朋哉さんに心から感謝致します。
映画『ゾッキ』は2月に撮影が開始され、2021年に公開される予定。