セカンドインプレッションの続き





受験勉強も大事だけど、息抜きも同じぐらい大事だと思う俺は休みの日に1日家に引きこもるなんてできない。少しは風に当たらないとおかしくなるってもんだ。悲しいかな、これでもスポーツ少年だったんだ。あっという間に過去形だけど。

コンビニに寄ったり走り込みをしたりただふらっと散歩をしてみたり、日によってまちまちな過ごし方をするものの、今日の俺は手近な服に着替えて電車に乗り込んだ。目的地は大型ショッピングモール。空がすっかり秋になっている。夏が終わって幾分も過ぎた。

スポーツショップに足を運んでしまうのは既に悲しい習性。もう野球は終わったのに、ぶらりと体を向けてしまうのだ。虚しくなるってもんだけど、そこで俺はまたラッキーに出会った。偶然ってのは重なるもんで、視界に入ったのはスポーツ用品ではなくオンナノコ。なんかデジャヴ。

「あ、こんにちは」

振り向きざまに声を掛けられてドキッとする。違う違う、このドキッは恋のそれじゃなくて後ろから突然声を掛けられたときみたいな、びっくりの意味のドキッだから。言い訳する意味なんてどこにもないくらい俺は言葉にするのも恥ずかしい恋をしているのだけど。

「こんにちは、久しぶり」

冷静に。半端な距離だったのを少し詰めて返事をする。すぐに思い出してくれるあたり俺のことどうでもよくは思ってないのかなっていう自惚れも心の中なら誰にも非難されないからいいんだ。ほんの数回のメールだけの関係だけど、この間柄がこの間までは他人だったのが知り合いにグレードアップしてるはず。

「買い物?ていうか、買い出しか」

俺はその手に持たれたカゴを覗き込んで言った。大量に放り込まれた色々は、明らかに野球部の備品。「はい、でももう会計だけなんで」と言われてしまえば俺はどうすればいい。なんでこんなときに限って女の口説き方を思い出せない。

次の言葉に悩んでる俺に明らかに頭にハテナを浮かべてこっちを伺ってる篠岡千代ちゃん。よく考えれば呼び方も定まっていない相手を俺は口説こうとしているのか。無謀だね、笑っちゃうね。

「それ終わったらさ、ちょっとお茶しない?」

無謀なのならいっそ当たってくだければいい。ここで断られたら俺のおかしな恋はお終い。ラクチン。俺ってば本当に演技派。中身の緊張とは裏腹に笑顔は余裕ぶっている、はず。だけど返ってきたのはいかに相手がいい子なのかと思うくらいに快い答え。

「いいですよ」

そんな君の笑顔にまたやられた俺はどうすればいいんだ。メル友以下の関係の君とデートまがいの事をするとは、やばいのかと思ったけれどもなぜだか心は落ち着いてきて、それこそ当たって砕けろだ。いつもの自分に戻った俺は、本物の余裕の笑顔を見せる。


(これが三度目の正直であるからこそ)



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頑張れ島崎、あと1話でホームイン



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