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離れ離れになっても

こんなのヒカキラじゃないロボー。
ヒカルとキララが幸せなら、という考えを「ヒカルとキララの幸せが違ったら」という考えと混ぜ合わせたらハッピーなのかバッドなのかわからないものが出来上がってしまいました。

ヒカキラじゃない。
ヒカルとキララ。

追記封入。
more...!

雑文(ヒカキラ?)


クリスマスらしいものは書けなかった。

多分ヒカキラ?
ヒカルとキララ





 さすがにこの年になれば嫌でもわかる。キララはイベントの日プレゼントがないと怒る。
 クリスマスだって勿論含まれる。
 忘れれば忘れたで怒られるくらいだが……。

「これ、2つ下さい」
「はい、600円になります」

 寒い外の空気はコートにマフラー、手袋もしなければ耐えきれないほどだった。吐く息が白い。
 街行く人達は二人組……カップルばっかりで気を付けていないとぶつかりそうで怖い。
 それほど広くない道で二人並んで歩かれるのだからたまったもんじゃない。邪魔、と口には出せなかったがもう少し気にしてほしい。
 こんな寒い、忙しい日に、ケーキを買った。
 そのまま自分の住むマンションまで急ぎ足で帰る。

「あー……キララいる?」
「いるわよ、何?」
「何ってわけじゃないけど、クリスマスだし」

 はぁと言葉の途中に荒れた息を吐きながら、息を整える。

「クリスマスねぇ……一人で寂しいからって私のところじゃなくてもいいじゃない」
「違うよ。渡したいものがあるから」
「プレゼント?」

 そんな変わらない会話をしている内に上がった息も落ち着き、体温も次第に下がっていく。
 パタパタと足音がして、キララがドアを開いた。
 ラフの格好ではあったが髪はキチンと縛られており、いつものキララだった。

「これ……」
「あ、ケーキ? ふぅん」

 気のない返事に、肩を落とした。

「ケーキね、もう買っちゃったから」
「あ、そうなんだ」
「まぁ入って入って」

 キララの部屋の机の上には自分が持ってきたものと同じケーキ屋の箱があった。
 成程と思った。同時にあぁ、と嫌な感じがした。
 ケーキ屋が近いとはいえわざわざ買うことも少ない。だからといって種類も多様にある中同じものを買ったとも言えない。
 グルグルの頭で箱を指でさす。

「もしかして」
「……多分、ね」

 箱を開けてみると全く同じケーキが2つ。自分が持ってきたケーキを含めると4つのケーキ。
 嫌な予感ほど当たるとはよく言う。
 ティーカップを二つ乗せたお盆を持ちながらキララがキッチンから現れた。

「うわぁ……どうしよう」
「別腹もいっぱいになっちゃいそう」
「どうする?」
「勿論食べるわよ。でも……さ」
「?」

 言いかけたキララが隣に座る。
 ソファが僅かに沈む。

「私がこのケーキ好きなこと知ってたの?」
「だってキララいつもこれ食べるじゃないか」
「ありがとう……」

雑文(イッキ+アリカ)


500文字くらいで。



【アニメ イッキ+アリカ】

「ねぇーさむいー」
「わかってるよ。寒いから早く帰るんじゃん」

 喧嘩口調の二人が歩いていく。
 口から出る息は白くて半袖の二人は端から見ても寒そうだった。

「イッキそんなんで寒くないの?」
「寒いよ!」

 ポケットに両手をしまい込んだままイッキは答えた。
 この空気に手を出したらそこから体中が冷えていきそうな気がした。動いてる足はともかく顔はひんやりして強ばってきた。

「っめ……!」
「あーイッキの手あったかーい。ずるいずるいー」
「離れろよ。カイロじゃないんだぞ!」
「やだ。せっかく温かいんだもん」

 ポケットまで侵入してきた幼なじみの手に小さな空間で鬼ごっこが始まる。
 出したくない手は逃げられずしっかりと両手に捕らわれてしまった。ポケットがこんもりと膨れている。
 近所の人からクスクスと笑い声が聞こえて寒かった顔がカアッと熱くなる。
 無邪気な隣の幼なじみは恥ずかしさより暖を取っていた。

「イッキんちまでこのままね」
「離せよ、寒い!」

 がっちり握られた手はほんのり温かさを取り戻していた。
 出たくない手は最後までそのままで。

雑文(ヒカキラ)


「ここで寝るの?」
「仕方ないだろ。イッキ君来ないんだから」

 街から街へ抜ける為の洞窟の奥でヒカルとキララは話し合っていた。
 入ってきた穴よりも出口の方が近いこの位置で、二人は岩の少ない場所を陣取り座り込んでいた。
 どちらの穴からも風は届かず蒸した洞窟の中で二人は変装を半分解きマントをシート代わりに肩を寄せている。

「野良メダロットが出たらどうするの」

 元々野良メダロットの溜まり場と街の人からは避けられてきた洞窟に野宿するとは誰が考えただろうか。
 無謀を重ねてきた二人とはいえ、野宿はつらい。野良メダロットが出るとなれば安心して寝れるかも怪しい。

「人間に危害は加えない、メダロットの原則は野良でもあるはずだ。だから大丈夫だよ」
「……うん」

 ヒカルは“当たり前”を口にするが、キララには効果がなかった。
 空いている手で荷物を引き寄せる。
 心細そうに顔が下に向いたままのキララの返事にヒカルは顔をのぞき込んだ。

「心配?」

 キララは更に下を向き顔が見えなくなった。
 隣に居る人物がどんなにロボトルが強いと言われた人物と言えど、奇襲されたらどんなドジを起こすかわからない。

「そりゃあね」

 ああ、とヒカルは何か思い出したように手を叩いた。
 左腕を構える。腕に輝くメダロッチには自慢の相棒が入っているのだろう、胸を張って今にも転送ボタンを押しそうなほどに指は寸前で震えていた。

「めたびー出しとく?」
「ロボトルしたらうるさくなるからいい」

 そうじゃないと首を振られ、ヒカルの妙案はあっさりと却下された。
 呆然、そして消沈。
 うーん、と唸るヒカルに呆れ顔を隠すキララ。半分はヒカルの案の笑いが混じっている。

「そ……っか。じゃあ僕が見張りするよ」
「ヒカルが?」
「寝ないの慣れてるし、何か起こったら起こすよ」

 半ば無理矢理にキララを横に倒し、布団代わりのマントをかける。
 薄いマントでも汗が吹き出るほどの洞窟内は寝るまでにも時間がかかりそうだった。
 納得したとは言い難い渋い顔を半分以上マントに隠し、大人しく横になった。

「じゃあ」
「ん?」

 マントからキララの白い手がにゅっと現れた。
ヒカルは、寒そうと一言呟い首を傾げてしまう。
 バタバタと生きのいい魚のように動く手に戸惑いを隠せない。暫く跳ねていたがピタリと急に動きが止まるとキララが小さく呟いた。

「手、握ってて」
「なんで?」
「何かあったら引っ張って……」
「オーケー」

 ようやく納得したヒカルは手を伸ばす。
 じんわりと汗ばんだ手同士が握られた。



追記はおまけ。

more...!

短文(キララ+ヒカル+モブ)


「ア、アキタさん。僕と付き合って下さい!」

 突然予定にない呼び出しをくらったと思えば、これだった。
 相手はこれといって特徴のない典型的な研究員。
 理由は、さっき言ってたみたいだけど……サバサバしててお姉さんなところが気に入ったとか言ってたかしら?

「ごめんなさいね」
「あ、あぁ……」

 男として情けない顔して。
 悪いとは思うけれど、付き合う気もない。
 その場でへたり込む研究員に目線を合わせると小動物のようにこちらに目を向けてくる。

「僕じゃダメですか!?」
「ダメというか貴方のこと何も知らないのよね」
「付き合ってる人今いないんですよね!?」

 どこからの情報なのか。

「まぁ、いるようないないような……」

 言葉を濁すと研究員はいたたまれない様子でその場から逃げ出した。
 呼ばれて答えて逃げられて、どうしたらいいのか暫くその場で考えた。



「ということがあったのよ」
「へぇ。キララに告白なんて勇気があるね」

 ヒカルの部屋でのんびりと麦茶を飲みながら今日の出来事を話す。
 ヒカルは相槌を打ちながらパーツいじりに夢中である。

「……でさぁ、一つ質問いい?」
「なぁに?」
「付き合ってるようないないような人って僕のこと?」

 口が動かなかった。
 純粋な興味からと分かっていても確信を突かれると急に胸がつっかえる。

「キララ?」
「あ、えぇっと……ヒミツ! 乙女には知られちゃいけない秘密があるのよ」
「お、おとめ?」
「なによ、乙女よ!」

 ふいっと顔を逸らした。


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