夫が遺言書を書いて残してくれていたのですが、本文に署名押印がなく、封筒に署名押印がありました…?
2010-2-16 12:07
本文に署名押印のない遺言書
弁護士: 遺言書は、ご主人が生前に自分でお書きになったものなんですね?
相談人: ええ、公証人役場には行きたくないと言っていました。
弁護士: そうですか。自筆証書遺言は、とかくその有効性が問題になりがちですので、私は公証人役場で遺言書をつくるのが一番安心だとおすすめしているのですが…
相談人: 夫が死んだあと、遺言書と書いた封筒を見つけて開封したのです。
弁護士: なるほど。それで、家庭裁判所の検認手続きは受けましたか?
相談人: はい。家庭内のゴタゴタがあって、少し遅れましたが、家裁には遺言書だと認めてもらいました。
弁護士: どれくらい遅れたのですか?
相談人: 夫は五月に亡くなって、家裁に出したのは十一月です。
弁護士: うーん、かなり遅かったですね。それはともかくとして遺言書には署名押印がなかったわけですか?
相談人: そうなんです。封筒には署名押印もありましたが。
弁護士: たとえ本文に署名押印がなくても、封筒と書面が一体のものだと認められたら有効だと扱われますが、この場合は一体性があると言えるか、かなり微妙なところですね。
相談人: でも、封筒の中に遺言書が入っていたことは間違いありませんし、どちらも本人の自筆なんですよ。
弁護士: ええ、これは本人の自筆だということが前提なんです。だから、封をした状態のまま家裁に持参して、その場で開封していたら一体のものとして遺言は有効になったと思います。
相談人: 勝手に封を開けたのがいけなかったのでしょうか?
弁護士: それもありますが、家裁で早く検認を受けるべきだったと思いますよ。
相談人: そうなんですか…。遺言書ってなかなか面倒な決まりがあるんですね。
弁護士: はい。それで先ほど申し上げたように公証人役場でつくることをおすすめしています。
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