知人の父親が不治の病で亡くなったのですが、医師が知人にきちんと説明をしなかったことを憤慨しています。責任を問えますか。
がんの説明がなく死亡 医師の責任問えるか?
弁護士: その方ご自身は、ご自分の病名をご存知でしたか?
相談人: いえ。医師は患者本人である父親に対し、本当の病名を言ってもしょうがない、と判断して言っていないそうです。
弁護士: 本人に告知していない。なぜですか?
相談人: 80歳近くの高齢であったことと、治りにくい部位のがんだったからという説明だったということです。
弁護士: 患者本人が認知症で判断能力が無かったということでしょうか。
相談人: いえ、一人でちゃんと生活もしていました。
弁護士: でしたら、やはり医師は患者本人に説明すべきだということになります。患者は自分の身体について自己決定権がありますから、その前提として自分の症状を理解するために必要な、すべての情報を得る権利があります。
相談人: なるほど。そうですよね。
弁護士: 自分の人生の最期をどう生きるか、その在り方を決める機会を奪われた、とも考えられます。
相談人: 誰だって自分の余生をどう過ごすか、考えていますからね。
弁護士: 同じ事は家族についても言えます。
相談人: 家族に対して医師がきちんと説明しないときには、損害賠償を求めることができるということなんでしょうか。
弁護士: そこは微妙なんです。判例は、患者本人について認めています。
相談人: 認められる金額は?
弁護士: 慰謝料として200万円とか300万円が多いようです。
相談人: それってやはり、不治の病の場合なんでしょうね。
弁護士: そうですね。患者や家族の人生を左右できるほどの状況にあるときに、医師の説明責任が問われると言うことだと思います。
相談人: ともかく、医師が何でも自由に裁量できるというわけではない、ということなんですね?
弁護士: そうです。医療水準に従って、通常の医師なら当然に告知・説明するだろう、ということです。
相談人: なるほど。ありがとうございました。