法律相談事例集

「その女性は判断能力はまだあるわけですね？」

「ええ、まだ一人暮らしは大丈夫だと思いますが、私とか近所の人が交代で頻繁に顔を出しています」

「物忘れが激しいというのは、時々ボケ症状が出るということですか？」

「本人はそう言っていますが、忘れものは私なんかもしますし、まだ大丈夫だと思うのですが･･･」

「精神障害のため判断能力が不十分な状況にあるときには、任意後見契約というのを結んだら、財産管理などをまかせて安心できるという制度があります」

「何か手続きがいりますか？」

「はい。公証人役場で、定められた様式の公正証書を作らなければなりません。契約の登記もします。そのうえで、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから手続がスタートします」

「うーん、なんだか難しそうですね。それ以外のもっと簡単な手続はないんですか？」

「弁護士会によっては弁護士と財産管理契約を結んでもらって管理するということをやっています」

「率直におたずねしますが、その弁護士さんは信頼していいんでしょうか？」

「弁護士会が受任した弁護士を支援し、監督することになっていますので、ご安心ください」

「問題は本当にボケでしまったときのことですよね･･･」

「そうなんです。あやしげな連中に財産を喰いものにされないためには、早目に手をうっておく必要があります。一度、ご本人を連れて弁護士会か司法書士会に相談に行かれたらいいと思います」

「そうですね。ぜひ、そうしてみましょう」