おばあちゃんが死んでから、展示会で買った着物の代金が未払いだということがわかりました。でも、契約書が十分でないと思いましたのでクーリングオフを主張したのですが…。
死後のクーリングオフ できますか?
相談人: ええ、着物は現にあります。ただ、一度もそでを通した事はないようで、しつけ糸がついたままになっています。
弁護士: 契約書が十分でないということは、どういうことですか?
相談人: クレジット契約の書面は確かにあるのですが、販売業者の住所・氏名が欠けていて、担当者の名前も書いてないのです。
弁護士: それはひどいですね。それだったら、訪問販売法にある交付すべき書面にはあたりません。
相談人: そうでしょう。ですから私は、これならクーリングオフの期間は過ぎていないということで、クーリングオフを主張したのです。
弁護士: まだ8日間はたっていないということですよね。
相談人: ええ、ところが、業者の方は、販売業者の住所・氏名や担当者名は注文書控えに書いてあるし、それを交付したから、それで十分だと開き直るのです。
弁護士: いいえ、判例はそんな便法は認めていません。この訪問販売法は消費者保護の趣旨ですし、初めから本来の書面にきちんと書いておけばいいだけの話なので、別の書面で補完すれば足りるということにはなっていません。厳格に解釈して良いのです。
相談人: そうですよね。ところが、そんなことを言うのは権利の濫用だなんて言って、業者の側は開き直ってるんです。
弁護士: 最近の東京地裁の判例に、似たようなケースで、業者からの権利の濫用の主張を認めなかったものがあります。要件をみたさないものにクーリングオフを主張するのは当然です。買った人が亡くなったからと言ってすお族人が主張できないということはありません。
相談人: 力強いお答えで嬉しくなりました。ありがとうございます。