法律相談事例集

「具体的には、どんな行為でしたか？」

「職場行事としての歓送迎会のとき、結婚しろとか、結婚しなくても子どもを産めと言われました。また、焼肉パーティーのときにも腕をつかんで不倫しようと迫られました」

「ひどいですね。何か証拠になるようなものがありますか？」

「焼肉パーティーのとき、デジカメでとった写真があります」

「デジカメの写真は、普通のネガフィルム写真とちがって、パソコンで容易に改変できるというので、あまり信用されていません」

「いえ、私は、改変なんかしていません」

「データの加工がしやすいということ自体は間違いないのです。ところで、職場の人たちの証言は得られませんか？」

「それは大丈夫だと思います。みんな呆れて見ていましたし･･･」

「市の職員なんですよね。セクハラ相談担当課には申し出ましたか？」

「まともに調査してくれないどころか、職場の人間関係がうまくいっていないのは私のせいみたいに言ったり、上司をかばったりするのです」

「困りましたね。セクハラ防止マニュアルはないのですか？」

「いえ、立派なガイドラインがあることをはじめて知りました」

「何も措置しないのはガイドラインに反しているはずです」

「損害賠償請求できますよね？」

「相談窓口が何もしなかったというのは、もともと権限にも職責を定めたガイドラインの趣旨・目的からも、その不行使が許容される限度をはるかに逸脱していて、著しく合理性を欠くので違法だと認定した最近の横浜地裁の判決があります」

「いくらの賠償が認められたのでしょうか？」

「そのケースでは慰謝料として合計して２００万円でした」

「私も泣き寝入りせず、がんばってみたいと思います」