入籍はしていませんでしたが、20年以上も夫婦として生活してきました。夫の遺族共済年金を受給したいと思うのすが、窓口で、戸籍上の妻がいるから難しいと言われ、困っています…。
2010-3-2 16:52
内縁の夫に戸籍上の妻がいた
弁護士: 亡くなられたご主人には戸籍上の妻がおられたわけですね?
相談人: はい。何度か離婚の話し合いもしていたようですが、まとまらないままでした。
弁護士: 戸籍上の妻はなんと?
相談人: 絶対に離婚しないと言い張っていたようです。女の意地だとか言って……。
弁護士: それで別居してこられたわけですね?
相談人: ええ、20年以上も私と同居してきましたから、世間からは私が妻とみられてきました。
弁護士: あなたのようなケースを重婚的内縁関係と言って、最高裁の判例があります。法律上の妻が事実上の離婚状態にあるときには、もはや遺族給付を受けるべき配偶者には該当しないとしています。
相談人: その、事実上の離婚状態というのは、具体的にはどのような状況をさすのでしょうか?
弁護士: 最近も東京地裁で判決が出ています。そのケースでは、別居後、夫婦関係の修復の努力がなされていないこと、会ってもおらず、生活費を送ったりもしておらず、婚姻関係の清算のために1000万円を送金していることなども理由としてあげられています。
相談人: 1000万もですか…。
弁護士:その金額自体にはそれほどの意味はないと思います。婚姻関係が実体を失って形骸化していて、修復される見込みがないということが肝心です。
相談人: 私と夫はずっと協同して生活を送ってきたのですから、私が年金を受け取るのが道理にもかなっていると思うのですが…。
弁護士: そのとおりです。判例も、遺族給付は遺族の生活を保障する目的で給付されるものなので、遺族の範囲は生活の実態に即して、現実的な観点から判断すべきだとしています。
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