一人暮らしをしている叔母が風呂場で死んでいるのが発見されました。保険金を請求したところ、保険会社は病死だと考えられるとして、拒絶しています。
病死といって保険金が出ない!
弁護士: どんな状態で亡くなられたのですか?
相談人: 小さいお好み焼き屋を営んでいて元気に一人で暮らしていたのですが、店が閉まったままなので、近所の人がおかしいと思って連絡してくれました。
弁護士: なるほど。
相談人: 預かっている鍵を使って部屋にはいったら、叔母が浴槽の中で死んでいたんです。
弁護士: 自殺ではないのですね?
相談人: もちろんです。そんなことは考えられません。
弁護士: 病死ということは考えられますか?
相談人: 叔母は73歳でしたが、ふだんは医者にもかかっておらず、元気でピンピンしていましたから、そんなことはないと思います。
弁護士: 保険は団体保険なのですね?
相談人: クレジット会社とのあいだで団体保険に加入していました。
弁護士: その保険は、病死だとダメなんですね。
相談人: そうなんです。保険会社の人は、外来の事故じゃないと保険金はおりないと言っています。
弁護士: 浴槽で死んだというのは、まさに外来の事故にあたるのではないでしょうか。
相談人: いえ、保険会社の人は浴槽内で心不全発作をおこして死亡したと考えられるので、外来の事故という要件にあてはまらないというのです。
弁護士: 医師は死因についてなんと言っていますか?
相談人: 大学病院の監察医が解剖したのですが、それによると、溺死と推定し、不慮の外因死だとされています。
弁護士: でしたら、保険金は支払われるべきだと思います。最近の大阪高裁の判例にも病死だと明確に言えないかぎり外来の事故による死亡にあたるとしたものがあります。
相談人: そうですか。
弁護士: 直接の死因が身体の外部にあることを立証したら、その間接的な原因については、身体の内部に原因するものでないことまで明らかにする必要はないとしています。
相談人: 難しいんですね。