「突っ込めば世界は救われる」
どこに突っ込むかが問題な前置き。



えー、今回は、ロメゾン(naught.ari-jigoku.com)さんところのフリーゲーム「X5 しあわせ粗製濫造装置」(naught.ari-jigoku.com)と「sad but mad」(naught.ari-jigoku.com)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。






『X5 しあわせ粗製濫造装置』

タイトルからしてパンチの効いたこの一作、巷でタイトルだけ目にして気になってはいたのですが、このたびようやくプレイすることができました。もちろんタイトルのみならず、キャラクターも展開もなかなかにアクが強いです。

ツクール製ではありますが、ジャンルとしてはADV。……でいいのかな。基本的にはテキストを読みつつ、時々ミニゲームを楽しみつつで進んでいきます。群像劇でSFな人生録といった感じ。というわけでさっそく魅力的な点をば。




・生き生き動くキャラクター

キャラクターがとにかくリアルです。個性付けもとんでもないです。売れない芸人、ハイジャック犯、殺人鬼、暴言娘などなど。話が進むにつれてどんどん暴走し激昂し思い悩み突き進むキャラクター達にこちらも身につまされる想いがしてしまいます。
やっぱり何と言ってもイタガキの存在が大きい。かつて全裸をここまで感動的にした男がいただろうか。寒いギャグをばんばん飛ばし、無神経に人を巻き込んでと、序盤はそれこそ「なんだこいつは」と引いていたのですが……彼の良さは後半で輝いてきます。一貫した動きは気持ち良いものです。ボケ役の彼の最高な突っ込みにはたまらなくなりました。本当、救われた想いです。

群像劇なストーリーなので、登場人物もけっこう多いです。でも困ることはありません。皆が皆濃いキャラをしているので、「この人誰だっけ」となることはまずないです。全員に見せ場のシーンがあるのも良いですねぇ。
皆が輝いていたのでキャラクター全員好きなんですが、萌えたのは不憫な方の刑事さんです。信仰系のキャラ本当萌えます。




・絶望と笑いと再生の物語

↑は公式サイトより引用。
ざっくり書くと旧型の宇宙船に乗りこんだ駄目人間たちがやけくそになりつつダストボックスを出入りする話です。どうですとんでもないでしょうこのアングラ感。

だからこそ終盤の展開は予想外でした。詳しく書きすぎるとよくないので是非プレイしてみてほしいのですが……とりあえず、あの勢いを上手いこと収束させたのはすごいです。どのキャラも魂の底から叫び、どうせ報われないんだと拗ねながら、それでも目の前にある希望を掴みたくなる――ちょっと抽象的な書き方をしてしまっていますが。とにかく、辛く、馬鹿馬鹿しく、清々しい一作です。
結局根本の問題は解決していないんだけど、だからこそ現実的にありそうな、信じられる救いの話だったなーと思います。




・手に汗にぎるミニゲーム

ストーリーを追うだけと油断しているとあっさりやられます。
アクション要素多めだったので、なかなかクリアできないこともしばしば。でも、ミニゲームを諦める選択肢もあるのでアクション苦手な方も安心です。私は馬に負けました……。
定番の追いかけっこものから、透明人間になったりタイミング重視だったり、ミニゲームの幅が広くて面白かったです。何より、ストーリーに合った流れで出てくるのが良い。双子のところは演出も相まって良い意味でぞくぞくっとしました。ついセーブデータ取って置いてます。



・さりげなく面白い演出

ストーリーが良いと言ってはいますが、それでもノベルゲーとしてでなくツクールゲーらしい作品だと思います。というのも、視覚的な演出が多くて見飽きないというのが理由です。
美麗な一枚絵がどどーん、とかいう方向性ではなくて。
さりげないところにSFらしさを出すオブジェクトがあるんですよね。トイレとか。で、調べるとそれに気づけるという。ステータス画面の状態がちょくちょく変わるのも細かくて好きです。
死神ゲームのシーンでがっつり心を掴まれました。





続いて『sad but mad』について。

X5の後日談、1時間かからないくらいの短編ものです。フレイザーや刑事組が中心なので、前作をやって彼らを気に行った方はやってみると良いかと。
ウィンドウの色変えは雰囲気が出てすごく良いんですが、真っ赤なのはちょっと目につらかったかな……。
バトルシーンの『自殺』コマンドが印象的でした。まあ、選択するよね。
最後の呼びかけがミスターだったのは、ああいう形で彼が解放されたからだと解釈したんですが……どうなんでしょうね?他の方の考えも気になるところです。






とまあ、こんな感じで。
キャラクターやストーリー重視の方、アクの強い作品をお求めの方にオススメします。