「利害の一致は時に善行になりうる」
別にあんたのためじゃないけどな前置き。



えー、今回はWooden Tkool(woodpenguin.blog.fc2.com)さんところのフリーゲーム「アクイ ト アイ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽくなってます。
中編RPG、プレイ時間は3時間強くらい。地獄から這い上がっていくストーリー。RPG慣れしてる人向けかと思います。難易度はやや高め。ただ、ゲームオーバーになるとヒントが得られます

では、さっそく良かった点から。
以下、ぼやかしているつもりではありますが、察しの良い方はネタバレ注意です。



・ダークヒーローの蹴落とし物語

ストーリーをざっくりまとめるならこれに尽きる気がします。
といっても胸糞悪い系の展開はほとんどありません。世界設定が地獄なので鬱展開めいたエピソードはありますが、キャラクターが皆開き直るなり許容するなりしているので基本的に後味は軽め。むしろ、王道的な熱い展開に期待する方が良いくらいかもしれません。
序盤は漠然と黄泉還りを目指して進み、世界観に馴染む。中盤はキャラクターの過去話の掘り下げ。終盤は彼らの未来について。階層を進むにつれてお話も段階的に広がっていくので、とても飲み込みやすく共感しやすい良い構成でした。



・お約束を破らず生き生きするキャラクター

タイトルの通り、メインキャラクターは「アイ」と「アクイ」。そう、これキャラクター名なんです。特にアクイはその名の通り、悪意を体現したようなキャラとして描かれます。
この発想にまずやられましたねぇ。斬新だし、キャラを覚えやすいし、勿論キャラは個性的になるし。まさに発想の勝利って感じでした。
お気に入りキャラクターはセイギ。彼のお約束的な行動、大好きですw 脆いところがあるのも人間味があって素敵。
会話のテンポがとても良くて、中でもギャグシーンはつい吹き出すことがしばしばでした。アクイがこっちの言いたいことを代弁してくれていたおかげかも。プレイヤーの思考を読まれてる感が面白かったです。
イベントシーンで、二頭身(?)ドットがたくさん動いてくれるのも見どころでした。アイちゃんのジェスチャー可愛いなあ。



・わかりやすく、捻りの効いたマップ

前に進むだけなら迷うことの少ないマップが多いです。ただ、この作品の魅力は脇道にあります。
あからさまに色の違う床とか、通り抜けできる壁とか、思わせぶりな出っ張りとか。わくわくしますよね! 一階層につき最低一か所はこういったお宝脇道が隠れ潜んでいます。これからプレイしようと考えている方は、基本的に行き止まりには何かあるものだと心しておくと良いかもしれません(実際何もない時もありますが)。
このマップ作りが絶妙で、何となしに進んだ通路から隠し通路のヒントがあったり、行き止まりを良く見れば向こう側にアイテムが落ちていたりと、絶妙なバランスでご褒美が仕掛けてあります。ああいうヒントに気づけるとこちらもすごくやってやった感があって嬉しいんですよねぇ。おかげで楽しく徘徊できました!



・皮肉の効いたテキスト

アイテムの説明文や、能力(ステータス)画面の辞書引用文が印象的です。特に、〜〜感や〜〜心の説明文は一見の価値あり。警句めいたものから突っ込みを入れたくなるものまで、端的にびしっと決めてくれているものが多いです。種類が豊富なのも面白かったなあ。
警戒心と優越感の説明文が好きです。クスっとくる感じが。



・親切リトライ機能

ボス戦で負けるとリトライを選ぶことができ、ボス前イベントをすっ飛ばすことができます。しかも、メニュー画面からスタートなので装備や作戦を考え直せるという有難い仕様! これには何度も助けられました。なので、ボス戦で心が折れることは少ない、かも!





さて、一方、人を選びそうなところもありまして。それがこちら。


・独自のバトルシステム

コンボなどのアクション要素や、組み合わせによって変化するスキル、状態異常や弱体に対する耐性の事前表示などなど、独自要素が濃いです。初めこそかなり戸惑いましたが、これがなかなかに楽しいものでして。初めて自力でコンボを繋げられた時は鼻が高くなりました。
しかしながら、難点もいくつか。AIが弱く、手動で命令しないとボス戦ではまず負けると思います。かといって手動操作していると攻撃でのコンボ稼ぎができず、せっかくのアクション要素が殺されてしまうんですね。互いに干渉し合っちゃってる感。
また、スキル変化はキャンセルにチェックを入れていてもほぼ強制で変化してしまうので、ここもちょっと不便。とはいえここのところは攻撃順番を変えるだけで回避できるので、戦略立てるの好きな方には燃えどころかもしれません。
要は、合う人と合わない人が分かれそうなバトルシステムかなと感じました。行動順を調整するのは凄く面白い試みだと思うんですが、うーん。





で、最後にちょっと残念だった点を。




・エピローグのあっさり感

ラストはそれこそ終盤にふさわしく、動き、暴れ、悪意がものを言わせる流石のストーリーです。だからこそ、失礼を承知で言いますが、エピローグがとっても惜しかった! なんだろう、あまりにあっさりと終わってしまったのです。盛り上がった気持ちを昇華して欲しかったー!というのが正直な感想でした。
でも本当、直前の大活劇は最高に心が震える展開でしたので、悪しからず!



・信用し過ぎれば詰みに近づくシステム

ストーリーの関係上、去った仲間の武器防具等が回収できない理由はよくよくわかります。むしろ返される方が違和感なのも重々承知です。
しかしそれでも言いたい、ただでさえ数の少ない装備を没収はキッツイと。
幸いにして、脱退しそうな仲間はなんとなく察せる仕様です。そこは有難い。けれどもこの作品、仲間を丸腰にして勝てるボス戦がそう無い……ような気がするのです。プレイスタイルによっては楽勝かもしれませんが、少なくとも自分は無理でした。なので、どうしても有用な装備が少しずつ減っていき、最入手の機会がなかなか無いこのシステムはけっこうきつかったです。
しつこいようですが、ストーリーのことを考えるとこの取捨選択こそがテーマの一つ、もっと言えばラスボスの姦計なのだと考えれば、逆にこれは最高の演出とも言えます。なので書いてる私としても心中複雑、あっちを立てればこっちが立たずとはまさにこのこと……。
これはこの作品のバトルが弱点や属性・耐性重視だからこそ感じるキツさかもしれません。やりたいことはわかる、納得もいく、でもそれが残念ながらマイナスで干渉し合っている感じ……。なまじこのシステム面での演出が素晴らしいと感じる分、惜しいところでもありました。





とまあ、こんな感じで。
後半は偉そうに苦言も呈してしまいましたが、重要なのは良い点として挙げた要素です。人を選ぶ作品なのは確か、それでも合う人はきっと楽しめるはず!少なくとも私はなんだかんだ言って楽しかったです。だってなんやかんやエンディングまで見たものね。

というわけで、俺様キャラやダークヒーローもの、王道展開、エッジの効いた文章などに惹かれる方は是非ともチャレンジしてみて下さい。
追記にはネタバレ全開で終盤の感想を書いておくので、興味ある方は右下からどうぞ。