たけなかゆうみ は囁いた。血走るノイズが鳴り止まぬこの雑踏の中、おそらく誰にも届かぬであろう声量で、しかし確かに誰かに向けて囁いた。

「あなたに会いたい」

残念ながら忙しなく歩き続ける燃料不足の通行人は誰も たけなかゆうみ を知らなかったので、答える人はいなかった。
後日、たけなかゆうみ は囁くことを止めた。想いがすり抜けるのはこんなにも悲しい。