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本売ります(チェス編)

引っ越して本棚に入れてみたら全然本棚のスペースが足りなかったので、

本を売ろうと思います。 

古本屋に売るよりも有効活用してくれる人がいるならその人に売りたいので、

下記の本でほしいものがあったら私まで連絡ください。 

@sph_chess_64eにリプまたはDMを送ってください。


"Endgame Strategy" by M. Shereshevsky
"Bobby Fischer My 60 Memorable Games" by R. J. Fischer 
"Power mates" by B. Pandolfini
"Easy Guide to the Reti Opening" by A. Dunnington 
"Startingout Modern Benoni" by E. Vegh 
"Yearbook 80"
"Yearbook 73" 
"World Chess Champions" by E. G.  Winter
"Smyslov and his 120 best games" by J. Spence & A. Liepnieks
"Choose the Right Move" by D. King & C. Duncan
"Practical Bishop Endings" by E. Mednis
"The Giuoco Piano" by E. Gufeld & O. Stetsko
"Alekhine's Defense" by N. Davis 
"Play the Evans Gambit" by T. Harding & B. Cafferty 
"Slav Botvinnik Variation" by R. Kuijf
"A Strategic Opening Repertoire" by J. Donaldson 
"Kramnik My Life & Games" by V. kramnik & I. Damsky 
"The Great Evans Gambit Debate" by M. Rhode 
"Max Lange Attack and the Anti-Max Lange" by K. Smith & J. Hall
"common sense in chess" by E. Lasker 
"Practical Chess Endings" by P. Keres 


今後は経済学とか編が続きます。

My Newest Repertory of French

ごぶさたです。

長らく放置してすいません。



とりあえず、新しい記事を一つ書いておこうと思います。

French Defenseは私の黒番で一番付き合いの長いOpeningです。

大学入学から使い続けているので、もう7年目の付き合いです。

その中で、3. Nc3に対する黒での準備は非常にコロコロと変えてきましたが、

他の3手目は結構一貫していました。

例えばAdvance Variationには5... Bd7しか指さないですし、 

今まではTarrasch Variationも3... Be7のみでした。 

しかしながら、最近はTarrasch Variationに関しては新しいラインを試しています。 

Guimard Variationです。 

ぱっと見非常にFrench Variationらしからぬ手で始まるこの変化ですが、 

調べてみるとなかなか信頼できる変化でした。

そこで、このブログの保守がてら自戦をひとつ載せてみます。 




[Event "online chess"]
[Site "chess.com"]
[Date "????.??.??"]
[White "Leufer"]
[Black "sphniy"]
[Result "0-1"]
1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 Nc6

これがGuimard Variationです。e5-d4-c3のポーンチェインを...Pc7-c5で崩すのが鉄則のFrenchとして、あるまじき3手目です。

4. c3 e5

そして、さらにあるまじき4手目です。もはやFrenchと呼べないような形になっています。4. Ngf3が代替手で、4... Nf6 5. e5 Nd7と進みます。

5. exd5 Qxd5 6. Ngf3

ビショップをc4に出したいものの今出すとg2が落ちるので、まずはナイトから。これのおかげで白にIQPができます。

6... exd4 7. Bc4 Qh5 8. cxd4 Be6 9. Bxe6 fxe6 10. O-O

10. Qb3が準備している手です。これにも0-0-0と返し、e6のポーンは捨てます。10... 0-0-0 11. Qxe6+ Kb8 12. 0-0 Bd6と続き、13手目は13. h3と13. Nb3がありそうです。

10... O-O-O 11. Qa4 Nf6 12. Nc4 Kb8

ここですでにイコライズできてるはずです。黒はIQPを攻めるという明確な目標がある一方、f8のビショップの使い方が難しいところです。このビショップの処理が黒にとってのポイントでしょう。
ここで白が考えるべきことは、d4の守りを作ることです。選択肢は本譜の他、13. Be3があり得ます。13. Be3 Nd5 14. Bg5 Be7 15. Bxe7 Ndxe7 16. Be3として、aファイルのルークをセンターに持っていくことができるのが本譜との違いです。

13. Rd1 Nd5 14. Bg5 Be7 15. Bxe7 Ndxe7 16. Nce5 Rhf8

開いたfファイルを使ってf3のナイトを攻める形はFrenchの特徴的指し方の一つです。e5のナイトを取るということも考えましたが、d4へのプレッシャーを残すことを選びました。

17. Qb3 Qf5 18. Rd2

IQPは突いて解消する、という基本に忠実な考え方ですが、これが敗着です。ここから一気に落ち着いたポーンアップのエンドゲームに向かいます。

18... Nxd4 19. Qc3 Nxf3+ 20. Nxf3 Rxd2 21. Qxd2 Qd5 22. Qc3 Nf5 23. a3 Rd8 24. h3 Nd4 25. Nxd4 Qxd4 26. Qxd4 Rxd4

ポーンアップのエンドゲームです。ここから数手かけて、まずはeポーンを守れるようにキングをセンターに運びます。

27. Re1 Rd6 28. Re2 Kc8 29. f4 Kd7 30. Kf2 Rd3

今度は白のキングがセンターに進めないようにルークで進路を止めます。

31. g3 c5 32. Kg2 c4 33. a4 Kd6

おそらく、正しいのは33... Rb3で、白のルークをb2の守りに専念させることです。

34. h4 a6 35. Kh3 b5 36. axb5 axb5 37. Kg4 b4

38. Re4を軽視しています。38. Re4 Kd5 39. Re5+でまだ黒の勝ちですが、37... Rb3くらいの方が強いと思われます。

38. h5 h6 39. Kh4 c3 40. bxc3 bxc3 41. Rc2 Kd5 42. g4 Ke4 43. f5 exf5 44. gxf5 Kxf5 45. Rxc3 g5+

白から最後の悪あがきにはまらないように。45... Rxc3はステールメイトです。正直なところ、どっちでも間違えようのない局面とはいえ、駒数が少ない本譜の方が楽だと思っていました。

46. hxg6 Rxc3 47. g7 Rc8 48. Kh5 Kf6 49. Kxh6 Rg8 50. Kh7 Rxg7+ 51. Kh8 Rg1 0-1



さて、いつか機会ああれば4. Ngf3の変化も扱いたいとは思っています。

しかし、次に更新するのがいつかはわかりません。

本当ならWeekly Berlin書きたかったんですけど、続けられない状態に陥りましたし、最近厄災がどんどん降りかかってきます。

早く厄災から逃れ、新たな活動を始めたいものです。

8x8 Carnevale自戦記2

さて、8x8でやった試合は5試合とも結構納得してはいるのですが、その中で納得順2試合目はこの試合です。

この試合の背景として、相手のTakayasuさんとは数ヶ月前にあった8x8の例会で私が黒番で試合をし、Benkoの試合を指しています。 

そのため、当初Nimzo Indianを指すつもりでこの大会に臨んでいたものの、試したかった変化もあったので確実に変化が予想できるBenkoに突入することに決めました。 

Benko Gambitにもいくつか新しく準備を始めていた変化があり、前回公開した試合とは違って準備が皆無というわけではありません。


本局のテーマは「時間消費とCalculation」です。

[Event "8x8 Carnevale"]
[Site "?"]
[Date "2013.6.22"]
[Round "?"]
[White "Takayasu"]
[Black "Y. Ota"]
[Result "1-0"]
1. d4 Nf6 2. c4 c5 3. d5 b5 4. cxb5 a6 5. bxa6 g6 6. Nc3 Bxa6 7. g3 Bg7 8. Bg2 d6 9. Nf3 Nfd7

試したい変化の一つがこれです。"Play the Benko Gambit" (N. Pederson著)に掲載されている変化で、b8にナイトを残したまま、その唯一の今動けるマスにもう一つのナイトを動かし、しかもキャスリングを遅らせる1手です。同書でその良さはなんとなくわかったものの、実際に指してみて自分が好きになれるか試したいのが本局のモチベーションです。

10. O-O Nb6 11. Qc2 N8d7 12. Rb1

同書では12. Rd1としてeポーンを突くことを意図してピースを動かすものしか扱っていません。確かにその方が論理的ではあると思いますが、12. Rb1でも9手目で開いたダイアゴナルビショップの狙いを避けておく意味で、有効な手です。

12... O-O 13. b3

ここまでほとんど時間を使ってない(はず)ですが、ここで多少の時間消費です。Benko特有のポーン捨てのため黒は1ポーン少ないのですが、当然それは元々普通のことです。13... Bxc3から本譜同様に指せばポーンを取り返せますが、果たしてその取り返しにダイアゴナルビショップを捨てる価値があるのかどうかが時間の使いどころでした。結論はその価値ありと判断してポーンを取り返しに行きます。

13... Bxc3 14. Qxc3 Nxd5

ここでも時間を使います。黒がポーンを取り返す手は2択で、本譜と14... Bxe2があります。13手目の取りに時間を使っていたという思いもあり、切れ負けではどんなに局面が良くても時間が落ちたら負けです。あまり時間を使うわけにはいきません。どちらがいいかを考えておりましたが、結論としては14... Bxe2が正着です。d5にはポーンを残しておく方が白のビショップに仕事をさせません。本譜はむしろ、センター正面から白の攻撃を受ける可能性が出てきます。

15. Qd2 N5f6 16. Re1

黒が解放の手助けをした14... Nxd5を一番活用する手は16. Ng5です。g5にいったナイトそれ自体よりも、白マスのビショップが通ることが問題です。14手目でd5を取りに行ったのは、ここでg5にいくナイト自体には脅威がないなら大丈夫だと判断してしまったからです。

16... Bb7 17. Ra1 Qb6 18. Bb2 Rfc8 19. Qh6

お互い準備が調いここから攻め合い開始というタイミングで、先にしかけたのは白です。正直なところ、黒は精一杯やってドローがようやくかと思っていましたが、局後記事を書いている今となってはそこまで怖がる局面ではなさそうで、それどころか19... c4で充分黒がいいのではないでしょうか。20. Bd4を警戒して19... c4に踏み切れなかったのですが、どこか適当な場所にクイーンを苦し、次の手で21... e5とすれば、白のビショップの位置がむしろ悪いために、g7への利きをカットし白の攻めを遅らせることができそうです。指しきりだと普段以上に幻覚が見えるので、時間消費者にはあまり嬉しくないルールです(もちろん、ルールに適応させて試合をするのがプレイヤー、というのは自覚しています)。

19... Rab8 20. Rab1 Qa7

なんというか、この辺はお互いに見えない敵を追いかけて手を選んでいる気がします。黒はa2のポーンを取ってb2のビショップも取るのが最終的な狙いで、結果的に本譜ではそれが実現します。しかし、そんなことをしなくてもb1にいるルークは白マスなので、20... Be4で白は手損です。

21. g4

ここで白からvital blunderです。23... Be4を見落としていたようです(局中の反応による)。とは言っても、ここでは結論を知っているからblunderと断じておりますが、私が一番悩んだのはここからの一連の流れです。22... Nh5で黒に即メイトがないことは確実ですが、そこからどれくらい手数に余裕があるのかが重要です。とは言ってもやはり時間の使い過ぎは許されないので、b2のビショップが確実に消せるというところまで読んで、21... Qxa2を指しました。

21... Qxa2 22. g5 Nh5 23. Bh3 Be4

そして、ここが21... Qxa2の決断ポイントです。本譜の他、24. Bg4 Bxb1 25. Bxh4 Qxb2と24. Bxd7 Bxb1 25. Bxc8 Qxb2 26. Bg4 Nf4で、どちらも黒がいいことは明らかです。本譜を含めた3択では、24. Bxd7がベストだと思いますし、試合中はそれが一番注意して読んでいた手です。ここまで読み切ってから21... Qxa2を指しており、その時点ですでに局面上の勝ちは確信して、時間を使いすぎないようにすることが私の懸念事項になっております。

24. Ra1 Qxb2 25. Bxd7 Rc7 26. Ba4 Nf4 27. Kf1 Nxe2

で、これで白は虫の息です。なにより、g5まで突いてしまった自らのポーンと黒のナイトで、白はクイーンが一切使えません。クイーンが使えれば多少の駒損はひっくり返ることもありますが、本局ではそんなことは起こりません。

28. Rad1 Bxf3 29. Rd3 Bh5

ここでは白の息の根を完全に止める一撃があります。29... Bg2+ 30. Kxg2 Nf4+でd3のルークも落ちて終了です。勝ちを確信してベストの手を探す努力を怠るのは、私の良くない癖です。ここで29... Bg2+を指していれば、前回の試合ではなくこちらがベストゲーム第1位になったかもしれません。

30. Re3 Qg7 31. f3 Nd4 32. Rxe7 Rxe7 33. Rxe7 Nf5 34. Qxg7+ Kxg7 35. Rc7 Bxf3 1-0

最後はピースも交換が進み、白ノーチャンスです。 




残りの3試合は、もし紹介するならば前回とこれの間にあるR4でしょう。

とは言っても、そこまで面白い試合かは疑問なので、公開するかはわかりません。

要望があったら書くことにします。

まあ、試合自体はpgnにしてオーガナイザーに送る予定なので、 棋譜は公開されると思います。

The Weekly Berlin Defense 11

たまには自分の試合を載せてみます。

今まで載せてきた試合に比べ、質は低いこと間違いなしですが… 



[Event "21st Chess.com Quick Knockouts (1801-2000)"]
[Site "Chess.com"]
[Date "2013.07.02"]
[Round "?"]
[White "AkshayMorgaonkar"]
[Black "sphlily"]
[Result "0-1"]
[WhiteElo "1861"]
[BlackElo "1792"]

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 Nf6 4. O-O Nxe4 5. d4 Nd6 6. Bxc6 dxc6 7. dxe5 Nf5 8. Qxd8+ Kxd8 9. Nc3 Be6


chess.comでの試合です。sphlilyが私のアカウントなので、見つけた人はfriend申請してください。快く受けます。
この試合は昨日始まりました。で、もう終わりました。そして、なぜか1798でスタートして1801-2000セクションで試合をしています。Quick Knockoutsなので、超短時間ゲームです。まあもともと私はかなり短時間で指す人間ですが(就職しても平均1手返し時間1時間台です)。
さて、この試合で私が置かれているのは、「負けてはならない」ということです。つまり、ベストレーティングを100以上下回っている今、可能な限り下に落とさず、上にはドローを目指し、少しでもレーティングを戻すことを考えているからです。そういう時の私が選ぶ変化は9... Be6一択です。私は、Open Berlinで最も優秀な変化は9... Be6か、そうでないならば9... Ke8だと思っています(が、後者はあまり知りません)。もちろん、9... Bd7や9... Ne7も勝ちにいきたい時には指しますが、特に9... Ne7はリスキーな変化だと考えています。
とかなんとか言いながら、いきなり10. Bg5で定跡を外れるので、もうここから先はポジションの理解度勝負です。

10. Bg5+ Ke8 11. Rad1 h6 12. Bf4 Rd8

9... Be6の最大の利点はその柔軟性です。10... Ke8の狙いは本譜通りルークを交換するために早目にd8にルークを置くことで、そのためにはキングがe8に行く方が早く交換の準備が調います。10. Rd1ならばfルークがdファイルにくるため黒もルークの交換を急がずじっくりセットアップを考えればいいのですが、本譜のようにaルークがセンターに来た場合は早く交換したいところです(センターにいる白のルークの数が相対的に多くなるので、それを一組消してセンターVSセンターorキングサイドにしたい)。ここからの白の目指すべきプランは、(可能な限りルークの交換を避け、)eポーンを突いてセンターからの攻撃を厚くすることです。黒はそれを避けるように準備し、キングを安全にしてからキングサイドを攻めていくべきです。

13. g4 Ne7 14. h3 Nd5 15. Nxd5 Bxd5 16. Nd4 a6

ここでは色々な手が考えられます。おそらく、ベストな手は16... g5としてb8-h2ダイアゴナルからビショップを退かす手ですが、試合中には16... g5 17. Bg3に対する17... h5が見えず、却下していました。また、16... h5としてキングサイドを攻めるのも面白いでしょう。ただ、個人的にはこういう時にクイーンサイドで好きな形を作りたくなるので、もう少しキングサイドで手を作ることを覚えた方がいいのかもしれません。そのためにここで上記2種のどちらかが、勉強の意味で有効でしょう。

17. Rfe1 c5 18. Nf5

今までさんざん書いてきたように、焦点となるマスの一つはd4です。g7を攻め、黒マスビショップを出せなくする18. Nf5は一見魅力的ですが、見た目ほど黒にとっては痛くありません。むしろ、18. Ne2の方がその後のプランをしっかり考えなければならず、面倒です。

18... Be6 19. Ne3 Be7 20. Rxd8+ Kxd8 21. Rd1+ Kc8

目的を達成して、今度はキングをクイーンサイドに持っていきます。黒が根底に考え続けているのは、「悪くてドロー」ということです。クイーンサイドはキング一つで全て守れるので、あとはピースを悪くならないように配置してキングサイドからしかける予定です。また、もし白からの攻めがきつかったら、もう1組ルークを交換してマイナーピースエンディングにするつもりです。ポイントはe6でナイトとビショップの交換が発生することはもうないことで、これにより白マスビショップが残る=c4、b3のポーンが狙える=負けづらいという発想です。

22. c4 b5

なお、ここにきてなお22... g5 23. Bg3 h5が白にとって対処に困ることには気づいていません。まあ仕事の休み時間にカツ煮定食待ちながら10試合の手を返す状態でその可能性は考えてすらいませんでしたけど。

23. b3 Kb7 24. Kf1 h5

そしてここでようやく突きました。ただし、24... g5とせず。根底にあるのは、最低ドローを取るために、黒には弱点を作らず白に弱点を作ることなので、gポーンはf5に入ったナイトを追い返すために残しておきます。

25. Ke2 hxg4 26. hxg4 g6 27. f3 Rd8 28. Nd5 Re8

28... Bh4として黒マスビショップを外に出す方がチャンスはあるでしょう。指した後で気づき、しばらく焦っておりました。29. Nxe7や本譜通りにいってからの30. Nxe7が怖く、最善でドローかと思い始めました。

29. Be3 Kc6 30. Rd3 Bd8 31. Kd2

31. cxb5 axb5 32. Rc3が一番怖い変化で、32... c4はほぼ決まり(32... Bxd5 33. Rxc5+)として、33. bxc4に対する黒の正着がわかりません。d7かb7にキングを動かすしかないのでしょうが、生きているとは思えません。

31... Rh8 32. Kc2 Rh3

正着は32... Rh2+で、33. Rd2とすると33... Rxd2+ 34. Kxd2 Bxd5 35. cxd5+ Kxd5でポーンアップです。本譜も似た形になりますが、ここはもっと積極的に勝ちにいくべきポイントです。ただ、32... Rh2+ 33. Kb1からの後続手が思い浮かばず、33. Bd2を誘うために32... Rh3を指しました。

33. Bd2 Rh2 34. cxb5+ axb5 35. Nf4

32... Rh2+ 33. Kb1等での33... Rh3と違うのは、白のナイトがf4にいった時に当たらない位置にルークを置いてピンを作ることができる点です。私はe6に独立したポーンができることを極端に嫌うので、f4にナイトが動いた時に選択肢としてe6のビショップを動かせる変化を過大評価する傾向があります(逆にそうでない変化を過小評価していることが多いです)。

35... Bg5 36. Nxe6 fxe6 37. f4

Conditional moveだったので、非常に驚きました。37. Kd1ならば、37... Rxd2+? 38. Rxd2 Bxd2 39. Kxd2 Kd5 40. Kd3 b4 41. f4で白勝ちです。「ポーンエンディングは一番ひっくり返る要素が少ないから、確実に結果が見えていて、ルールを覚えたての人にその結果を示せる場合以外はポーンエンディングにしてはいけない」と、現在韓国で日本の2番ボードで戦っている人に言われました。37. Kd1ならば、黒が多少いいのは確実として、おそらくまだまだ長く続くでしょう。

37... Bxf4 38. Kd1 Rxd2+ 39. Rxd2 Bxd2 40. Kxd2 b4

おそらく、これが一番何も考えずに勝てる勝ち方です。こういうエンディングを指したくてBerlinを指すと言っても過言ではありません。

41. Ke3 g5 42. Ke4 Kb6 43. Ke3 Kb5 44. Kd3 c6

そして、ツークツワンク。数手前から白の指せる手を制限し続け、ここで突破です。37. f4?の時点でこのような形を思い描いてはいたので、38. Kd1からは一直線にここまで続きました。37. Kd1 Rd2+?との大きな違いは、fポーンがないためPg6-g5が指せたことです。

45. Ke3 c4 46. Kd4 c5+ 47. Ke4 c3 0-1

ということで、The Weekly Berlin初の自戦記を扱ってみました。

私はBerlin Tournamentにも参加しており、今後もChess.comでBerlinを指す機会が多くあることでしょう。

そのトーナメントは、あと2試合で2回線ラウンドになります。

グループで2人ずつ次のグループに行きますが、9.0P/10局でグループトップタイ通過です。

優勝目指して続きを指していきます。

The Weekly Berlin Defense 10

[Event "World Chess Team Championship"]
[Site "Ningbo CHN"]
[Date "2011.07.20"]
[EventDate "2011.07.17"]
[Round "4"]
[Result "0-1"]
[White "Emil Sutovsky"]
[Black "Pentala Harikrishna"]
[ECO "C67"]
[WhiteElo "2700"]
[BlackElo "2669"]

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 Nf6 4. O-O Nxe4 5. d4 Nd6 6. Bxc6 dxc6 7. dxe5 Nf5 8. Qxd8+ Kxd8 9. h3 Bd7 10. Rd1 Kc8 11. g4 Ne7 12. Ng5 Be8 13. f4 b6

Tal MemorialのCaruana-Kramnikを見ていたら、非常に面白い試合を見つけました。偶然にも白はACPの代表Sutovsky、黒はインドのBerlin Wall Playerで、黒のレパートリーであるNimzo Indianでも時折並べているGMです。
Caruana-Kramnikでは13... h5が指されていますが、個人的なポーンストラクチャーの好みは本局のセットアップです。

14. Nc3 c5 15. Kf2 h6 16. Nf3

16. Nge4は16... Nc6からd4に入られ、c2が負担になります。17. Be3としてd4に入るのを防げば、黒も17... Be7あたりからhポーンを突いて黒から反撃があると思われます。

16... g6 17. Be3 Bc6 18. a4 Kb7 19. a5 Re8 20. Nd2

この手がよくないのではないかと思います。黒の不満は2点で、その一つ目はe7にナイトがいることでf8のビショップが動けない(動きづらい)ことです。もう一つは、Nf3-g5がf7にあたるという事実があるためhポーンを動かせず、したがってh8のルークが使いづらいことです。22... Be6まで進めるとよりはっきりわかりますが、一つ目の問題が簡単に解消され、2つとも解消しないためにナイトがもう一度f3に戻っています。

20... Nd5 21. Nxd5 Bxd5 22. Nf3 Be6 23. Rd3 Be7 24. Rad1 h5 25. Kg3 hxg4

2つ目も完全解消です。ここからの黒の目標は、白のdファイル支配を弱めること、そしてhファイルを黒が支配することです。ビショップが中央からhファイルの重要なマスにも利いており、ルークを1組交換すれば両方の目標が達成できるでしょう。

26. hxg4 Rh7 27. R3d2 Kc6

キングのドリームポジションはここ。ここから数手の間、お互いの持ち時間が少なかったのではないかと予想します。

28. axb6 cxb6 29. Rh2 Rxh2 30. Nxh2 a5 31. Rf1 Rg8 32. Ra1 Ra8 33. Rf1 Bc4 34. Re1 Rh8 35. Nf3 Be6 36. Rd1 a4 37. Ng5 Bxg5 38. fxg5

Berlin指しとしてはこの上なく昂る局面になってきました。目指すのはaポーンの突き捨てです。これがベストタイミングで決まれば、

38... Ra8 39. Rd6+ Kb5 40. Bc1 Rh8 41. Rd1 Kc4 42. Be3 Ra8 43. Rd3 Re8 44. Rd6 Kb5 45. Rd1 Ra8 46. Bc1 a3 47. bxa3 Ra4

さて、ポーンが1個少ない上に残るビショップが逆色ですが、これはすでに黒勝ちです(そもそもaポーンは突き捨てが目標だったのだから1ポーン少ないとか何も関係ない)。それぞれのポーンがつながっておらず、かつg4のポーンを白は守れず、g4が取られた後のことを考えれば、g5を取られないようにするにはビショップはc1-h6ダイアゴナル上にいなくてはならず、しかもa3のポーンを守るためにはこのビショップはc1にいなければならないなど、制約が多すぎます。なお、46... a3はベストタイミングの突き捨てで、白のルークが黒陣を攻撃するのにすぐは働けません。

48. c3 Kc4 49. Rd6 Kxc3 50. Rxb6 Kc2 51. Be3 Rxa3 52. Kf2 c4 53. Rb4 Rb3 54. Ra4 c3 55. Ke2 Rb2 56. Rf4 Kb3+ 57. Kd3 Rb1 58. Rf3 c2 59. Kd4 Rd1+ 0-1

60. Kb5 c1=Q+ 61. Bxc1 Rxc1で、黒は完全に弱点のないピースアップに落ち着きます。




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