紅く煌めく髪飾り。
レインらしい、デザイン。

ファインは泣きたくなってきた。

靴をなくしたよりも、男達に追われた記憶よりも苦い。

うなだれたファインを見て、ルルが立ち上がり、このプリンセスを抱きしめた。

「きっと全て最後はうまくいきますよ。大丈夫です」

温かい。
温かくて、安心する匂い。

結局、黙っていられなくて話してしまったけれど。

でも、心が軽くなった今の方が、なんだかうまくいくような気持ちになってくる。

朝の太陽と紅茶の香りの中に、希望の匂いを感じだす。

「ルル、キャメロット、ありがとう」

ファインは心の底から言った。

そしてファインは考える。エクリプスには、こんな風に側にいてくれる人達がいるのだろうか。

そして、プリンス・シェイドにもまた、どんな悩みも聞いてくれる人達がいるのかしら。


もし、こんな不安な夜を過ごした後、朝の光の中で抱きしめてくれる人達がいなかったら。


それはとても恐ろしいことだと思った。



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2017/03/07 15:53、> のメッセージ:

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> カタカタカタ…
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> 小さな音が聞こえだす。
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> ファインが音の元を目で探すと、それはキャメロットのカップが、その下のソーサーに小刻みにふれる音だった。
> 彼女の手が震えているのだ。
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> 「それは…大変な問題です。国際問題ですよ…!」
>
> 怒りを押し殺した声でそう言うキャメロットに、ファインはドキリとした。
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> 「でも、エクリプスが助けてくれたし…」
> 「そんなの問題じゃありません!」
>
> ピシリと響くキャメロットの声に、ファインだけでなく、ルルも小さくなる。
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> 「いいですか、ファイン様! ファイン様はお命を狙われたのですよ? 大の男達に! それも1人は月の国の装束を着ていたなんて。
> 我が国のキングとクイーンが知ったらどれほどショックを受けるでしょうか。
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> シェイド様は、エクリプスとやらを捕まえると公言していましたが、それよりもまず、その2人の悪漢の逮捕が先です! そやつらは一体、どうなったのですか?」
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> 「…わからない」
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> ファインが答えた。
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> 「わからないの。聞いてない。…ああ、そういえば、私の靴も返ってこない」
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> 「靴? そういえば、ファイン様、昨夜は見たことのない靴を履いて帰ってらっしゃいましたよね。まるでメイドが履きそうな靴で」
> 「月の国のお城のメイドさんに借りたの。私の靴は、男の人達から逃げる時に脱ぎ捨てちゃったから」
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> ファインの言葉を聞いて、キャメロットが、「本当に恐ろしいこと」とつぶやきながらさらに頭を抱える。
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> 「必死だったから…。あ! あと…」
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> ファインの顔がサッと青くなった。
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> 「レインが…! レインがくれた髪飾りも…落としてきちゃった」
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