18/07/13 22:25 (:虹村 億泰)
  億泰 そのS
「‥ッ!!」

闇に包まれた屋上


「なッ何だよコレ」

億泰が露伴を盾にする様に周囲を見回す

「身動きが取れない‥少し離れてくれないか」


「なんでだよォ‥!!なんで街の明かりが見えないんだよッ」

「夜でも街の明かり位は見える筈‥しかしそんな事より」


眉根を寄せハンカチで口元を塞ぐ露伴


「くッくせぇ!?」


「億泰君‥鼻炎気味なのかい」


軽口を叩きながら、周囲を注意深く観察する。


「これは‥屋上に幕の様な物が張られているんだな、どれ」

ポケットからコインを取り出し

空高く投げる


ピシッ!


「うぉッ!あぶねぇ」

コインは億泰の足元に鋭く落ちて来た


「自然に落ちて来たのでは‥こうはならないな。恐らく彼女のスタンドに囲まれているんだろう」


「こ、この変な臭いもそうなのかよ」


億泰の目には
涙が溢れている。


「あぁ‥恐らく」


彼女の姿は無い


しかし此処で始末をつけるつもりだろう
「なぁ億泰君、彼女のスタンドは本当にスタンドなのかな」

「そういや、変なの描いていたな‥ほら魔法陣ってえの?」

億泰が指で丸を作る
魔法陣のつもりだろうか。


「仮に呪術的な事だとしても私のヘブンズ・ドアーで書き変えれば良い」


「‥そ、そうだぜ!!早くやってくれよ」

喜色満面な表情のまま距離を詰める億泰

それを軽く手で制し呟く


「‥そうしたいのはやまやまだが、見つからないんだよ」


いない

屋上に行った筈の女が


いない。


「言ってもこの屋上結構広いぜ‥端から探ってみたらいるんじゃねぇか?」


「相手の能力がイマイチ分からないからな、一緒に行った方がいいだろう」

「‥だ、だよな!」


心底安心した様子の億泰。 顔の血色が僅かに良くなる


少しトーンが明るくなった 億泰の声も、暗く重い空間に吸い込まれていく


「さぁ行こう」

屋上全体はボンヤリ明るく屋上からみる風景には光が無い


屋上をくまなく歩く
「なんだ、どこにもいねぇぞ‥」


「屋上の扉の鍵は開いたままだが‥」


走り去る音も、勿論施錠する音も聞いていない

扉を確認したまま 空を仰ぐ
「どこにもいないか‥」


周囲を見渡し

注意深く慎重に考える億泰


「しかし臭いなぁ‥空気が滞っているせいか、この臭いだけで死にそうになる」

苛立った様子の露伴

「なぁ露伴ちょっとイイか?」

手招く億泰


首を傾げ
手招き続ける

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