18/02/19 22:56 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。39
話題:妄想を語ろう
「貴女を死なせたくなかったんです‥」

途切れてながら何度も聞こえる


ルチルの声


抱き締められたまま身動きも出来ずに


譫言の様な願い‥

安堵が耳に流れる


強く抱き締められ、腕がどうにも自由にならず‥


苦し紛れにルチルの膝を軽く叩く


「‥あぁ済みません」


抱き締める代わりに彼女の手を握る


「‥本当に私の中にルチル‥貴方が入っているの?」


ひとつ溜息を吐き


言葉をポツリ零す


「相当脆いとは言え、貴女の身体は宝石‥にんげんのまま斬られないで良かったです。多分、にんげんのままだったなら」

「‥‥」


「肉は派手に裂け、内臓も骨も砕け散る所でしたよ‥」


「あの、私を斬った方って」


「ボルツですよ‥。ダイヤモンドの弟です」


恐怖の記憶が蘇り


無意識に首筋を撫でる‥薄く傷の痕と、その周りは既に 宝石で固められていた。

「肉と血、宝石で造られた‥貴女は前例の無いケースです。そもそもにんげん自体珍しいので‥」

ルチルの疲弊と興奮は
アンバランスに


グラグラと揺れ動き
にんげんにもたれかかる


「‥兎に角」


「ルチル‥?」


ルチルの指先が彼女を求め、抱き寄せる

細い指からは想像も出来ない程の力


パキン


脆弱な宝石は小さな悲鳴を上げる


「ごめんなさい」


彼女の耳に囁く


「その傷後で治します‥今は、今だけは」


今まで


出逢った時から
今まで


(手加減していたんだ)


決心した様な
ルチルの吐息


頭から爪先まで

静かに聞こえる肉体の悲鳴、宝石の僅かなヒビがパキパキと全身を駆け巡る


「首のヒビに合う様に私を削りました」

「じゃあ‥向こうの世界に帰れないね」

宝石の小さな悲鳴


「正直分かりません‥ただ、今貴女を失う選択は私にはありませんでした。」


「ルチル‥痛い」


「気持ち」


「‥なに?」


「気持ちが止められません‥私、どうしたんでしょうね」


ルチルの瞳が
優しく輝く


彼女の身体を
滑らかに流れる指先

ルチルの


「触診です」


「‥ルチルの本心が分からない」


「私は真面目ですよ」


再度強く抱き締め
一際大きな音が鳴る

「‥ルチルさん」

「治します」

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