18/02/13 21:03 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。38
話題:妄想を語ろう
重い


頭から首筋に、重く鈍い痛みを感じる‥

薄く目を開ける


変わらない
この世界の部屋


「る、ちーる」


独り言のつもりで声を上げる


声に異常は無い


「ちょっと‥!!」


何かを落とした音と忙しなく駆け寄る音とが交互に


《煩い情報》として耳に入り込む


「貴女‥!生き返った」


目を見開いたルチル

まるで信じられない顔をしたまま


此方を見つめる


「あー‥あぁルチル居たんだ」


「何を呑気に‥貴女全く覚えていないんですか?」


「覚え‥」


記憶が霞がかっていて輪郭がボンヤリしている‥恐怖の輪郭‥恐怖‥?‥きょうふ

「‥なんだっけ」


「今、色々考えてはいたみたいですね‥まぁ仕方ないです」

起きようとする彼女の身体を制し


ベッドサイドに椅子を寄せる


「貴女、死にかけたんですよ」
「‥あー」


うねる髪と鋭い瞳


ジワリ 繋がる記憶

「私、血‥出しましたよね」


「ええ、結構グロかったですよ。血の色が初めてなもので」

「ごめんなさい‥」

ルチルに言われた事が何故だか妙に気恥ずかしくて、反射的に謝ってしまう。


「謝らないで下さい‥良かった、手術は成功したみたいですね。少し指示通りに動かしてもらえますか」


左右、上下、全身を一つずつゆっくりと動かしてみる


「うーん‥首の辺りがモッタリするけど大丈夫みたい」


「成功しました」


微笑むルチル


「もう、正直死ぬかと思ったんです」


「ありがとうルチル‥流石、名医」


笑顔を向けるが

ルチルの表情が固い

「ルチル?」


「貴女の首の骨一部が折れていました。他の物で代用するしかありませんでした‥他の物‥宝石で」

「ほ、」


ポカンとした

にんげん


「今、貴女の首を繋げているのは」


無意識に触れる首筋

「私の一部です」

指先に固く触れる物

ルチルの身体の一部

「何処を削ったかは秘密ですよ」


「え、そんなお茶目に返されても」


自身に埋め込まれた宝石と


身を削ったルチル


ルチルに対する申し訳ない気持ちと猛烈な後悔が押し寄せた

「何で‥其処まで」

ルチルが寄り添う

「貴女を死なせたくなかったんです」

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