17/12/05 22:05 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。26
話題:妄想を語ろう
「次、現れたら飛び込んでみる」


ぽっかり開いた穴


不気味な暗闇にしか見えなかった

それは

〈にんげん〉にとっては焦がれる場所‥

「貴方、宝石のままでいたらどうです」

唐突に言ってみた


「このまま宝石‥でも象牙って脆い?」

治したばかりの指を弾く


「おやめなさい。2半ですよ‥フォスより脆いですからね」


「確か彼は3半でしたっけ‥あぁ、それは脆いですね」


慌てて
弾いた指をさする


「いっその事私と」

ルチルが言いかけ 
言葉を飲み込む


「‥雨、降って来ましたね」


ルチルの腕を引き、空を見上げる

〈にんげん〉


「あぁ本降りですね‥月人は現れません」


此処に来てから
初めて見る大雨


ルチルが

〈にんげん〉が


無意識に探す
暗黒の穴


〈にんげん〉は望み

ルチルはソレを敵として睨む

「あ‥少し待ってもらえますか」


いそいそ扉を開けるルチル


「動かないで下さいよ‥貴方突拍子も無い動きするんですから」

軽快に走る
ルチルの靴音


激しい雨音が何故か心地良く感じる


「宝石の身体って、人間の身体程は寒く感じないのね‥」


いつもなら
一枚羽織る気温。


多分、裸になっても寒くないんだろうな

指に触れてみる。

人間と宝石の狭間

中途半端な存在
怖く、不安が渦巻くのに涙が出ない


「お待たせしました」


振り返るその瞳が
花で埋め尽くされる

「昨日から集めていたんですよ、花」


「あ、ありがとうございます‥」


「ダイヤモンドにも協力してもらいました。1人ではなかなか」


両手にいっぱいの 花束


「気落ちした時には花が良いと思います‥ベッドサイドに置きますね」


「うん、ありがとう」


雨は更に激しくなり‥つい外ばかり見てしまう〈にんげん〉

「もう!暗い穴、今日は現れませんよ」

図星を突かれ激しく動揺する


「み、見ていません外は見ていません!」

「今日、は」


やや強引にベッドに座らせるルチル


「此処で色々話しましょう」


ルチルの気迫に

戸惑う〈にんげん〉

貴方が居なくなったら‥最近特に考えてしまう。怖いと思ってしまう理由が分からない

(もっと知りたい)

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