20/05/21 17:10 (:つれづれ日記)
 絵本にできたらいいんだけど
 絵本にできたらいいんだけど。

 ぼくが鞄を背負って学校に向かうと、
色んな人が 声をかけてくれる。
 「おはよう。」
「気を付けて 渡ってね」
 ぼくもめいいっぱい愛想よく答える。


 でも、困ったこともたくさんある。
 公園では、ぼくを誘惑するものが多すぎる。
 風に揺れるブランコ。
 散らかしたままの砂場。
 でも ぼくは 立ち寄ることはせず、
 まっすぐ学校に向かう。

 バスのなかでは、ぼくにおやつをくれようとする人もいる。
 でも、ママは お菓子はもらってはいけないという。
 だから その人は、こっそり ぼくにおやつを渡すために、
そっと 椅子の上に置いてくれるんだ。
 でも ぼくは それお拾ったりはしない。
 ぼくは、ママの言いつけを守る。

 ファストフード店の前では、朝ごはんを食べているOLさんがいる。
 お姉さんたちは 何やら楽しそうに話しながら、
 こっそり ぼくの写真を撮っている。
 ぼくの かっこいい背中の鞄が写るアングルを探しているようだ。
 勝手に写真を撮ることはいけないことだって、お姉さんたちは知らないのかなあ。
 いけないことだって知っているから、こっそり写すのかなあ。

 学校に到着すると、背中の鞄をおろして、
ぼくは、教団の隣に敷かれた毛布の上に座る。
 ぼくのママが、教鞭をとっている間、ぼくの仕事はお昼寝。
 そして、ママが帰るとき、
ぼくはまた、ママを誘導する仕事に就く。

 ぼくは、ママの大切なパートナー。
 ぼくは、盲導犬。


 
 

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