犬に間違われるほどの大きさの猫

この間、高校生の頃に飼っていた猫の命日でした。かなり昔のことなのに、毎年その日はお刺身か、マグロフレークをお供えします。

この猫、弟が朝学校に行く時に、3?4匹で捨てられているのを見て、学校が終わってから急いでかけつけてみると、1匹しかいなくなっていました。
その1匹がうちの子になったのです。

うちに来た頃は、片手に乗ってしまう大きさでした。えさの煮干しが良かったのか、どんどん大きくなり、気がつけば10キロ。
ある時、新聞の集金に来た方が、うちの猫の後ろ姿を見て、「あら、ワンちゃんこんにちは。」といったことがあるくらいの大きさに成長です。
白に茶色のブチがある模様でしたが、尻尾の付け根を中心に両サイドに茶色のブチ。
尻尾は、茶色と白の縞模様。
お尻だけ見ると、ガスマスクのようでした。
田舎の外飼い猫だったので、畑や田んぼで遊んでくるせいか、白い部分はほとんどグレーに近い色になってしまいます。

汚れて体の色が変わってしまう、で思い出しましたが、田んぼの真ん中に、農家の方が肥やしを盛り上げて置いていることがありました。
どうやら、発酵して暖かく感じたのでしょう。
私が、学校帰りにふと田んぼを見ると、その肥やしの上で、猫が大の字になって気持ちよさそうに寝ていました…。
猫の体はうっすら黄色くなっており、こちらは青くなって即シャンプーしたこともありました。

体が大きいので、よく食べる猫で、ちょっと調子に乗ってご飯をあげすぎていたようです。
ある日、ご飯をあげようと猫を呼びますと、遠くから鳴き声が聞こえてきて、走ってくる様子が見えました。
近くにつれ、目を疑う猫の姿。
お腹の肉がつき過ぎて、左右に揺れているのです。その揺れに合わせて、なんと声が出てしまっているのです。
「にゃっにゃっにゃっにゃっ…」と。
お相撲さんが、走りながらフウフウいっているようです。
これは、マズイ。ということで、少しダイエットさせました。
ですが、一回ついた食い意地は、なかなか治らないものです。少ないおやつが不満だったのか、父の食べかけのアイスクリームを盗んで舐めているところを見つかり、当時猫嫌いだった父の逆鱗に触れ、麦畑の中に放り投げられたことがあります。
あっという間の出来事で、投げられて弧を描いて、暴れながら猫が麦畑に消えてゆくのを見守りました。

毎年命日になると、あの猫のおかしかったエピソードばかり思い出して、笑ってしまいますが、その時期に似た模様の猫をみかけると、逆にもう会えないのだと悲しくなります。