ビジネスホテルの角を曲がると、突き当りにはテラスハウス。帰宅時に通ると一番右のお宅には、家の境となる背の低い植え込みに設えられたゲートライトが灯されており、電球色のやわらかな光が満開のさつきの濃厚なマゼンタを和らげている。それがとても温かい雰囲気を醸し出していて、終業後の私の癒しアイテムのひとつである。
いつだかこの家に、部活終わりであろうまだ幼顔のDCが体育着で入って行くのを見かけたことがある。何人家族だろう。夜には団らんの時を過ごしていそうだ。父親、もしくは母親が仕事から帰ってくるとき、この整然としたアプローチに灯されたやわらかい光を見ただけで、我が家の温かさが胸に込みあげてくるにちがいない。うらやま…。


「おかえり」を聞くより先に 門の灯を見れば まなじり下げて ただいま。