父は全身ガンに侵されていた。そうとは知らず普通に生活をしていて、昨年、たった3カ月の入院生活で人生を終えた。脊髄にも転移していた為か最後まで痛みを訴えることはなく、苦しむ姿を見ずに済んだのは家族にとっては大変ありがたかった。父は安楽死の肯定派で、苦しい思いをするのも辛いし、長患いをして家族に迷惑をかけるのも嫌だ、なぜ認めないのかという考えの人だったので、逝き方としたら本人にとっては最高だったと思う。

もしも、自分が激痛を伴うガンになったら…ショックは受けるだろうけれど、余命は知りたい。人間誰でもいつかは死ぬのだ、ゴールがわかっているなら生きているうちに、整理しなければならないことを全てやっておきたい。俗物的な欲はなくなるだろう。愛する者のために何かを残そうとすると思う。緩和ケアを受けながら出来る限り頑張って生きて、一瞬一瞬に何かを感じて楽しめればいい。父には支えてくれる家族がいた。私の未来はわからない。弟に迷惑はかけたくない。何より私は痛みに弱いのだ。治療を尽くしても耐え難き苦痛が取り除けないならば、死期が早まろうともセデーションをお願いしたい。
ただし目下のところ、患者の意識を限りなく低下させる鎮静剤を投与するセデーションのタイミングは、患者の希望通りとはいかないものらしく、医療者の匙加減ひとつとのこと。悩ましきかな。

精一杯生きて 無痛のゆりかごに揺られて 夢の間にぞ逝かばや

ばや:〜したい、〜できたらなぁ