紅茶一杯。



人をダメにするソファーとモブ
2017年4月5日 16:44

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※師弟付き合ってます
※モブ大学生&一人暮らし設定



ビーズソファーに埋まり睡眠を貪る霊幻を、テーブルに頬杖をついて眺めている茂夫。

買って良かった。

心からそう思った。
大学生になり一人暮らしをするようになって、自分だけのテリトリーに恋人である霊幻を何度も呼んだが、結局一度も泊まった事はなかった。夢だったのだ、朝を一緒に迎えモーニングコーヒーを飲むのが。
(今日こそは…!)
すやすや寝ている霊幻を見つめ意欲に燃える茂夫。
ビーズソファーはお高い。より良い物を欲すれば更にお高い。正直、相談所のバイトだけじゃ全然足りない。
なので掛け持ちした。勉強に学校生活にバイト掛け持ちに霊幻との仲を深める事に全力疾走した。ひとつも手を抜きたくはなかった。努力は実を結ぶと茂夫は中学生の頃に体験している。
正直何回かぶっ倒れそうになったが、心が折れそうな時は今日の日を想像し糧にし奮起した。結果見事に夢が実現したのだ。茂夫は感無量に思わず無言でガッツポーズを取った。
勝利を噛み締めたいし今日くらいは噛み締めても良いはずだ。茂夫は涙目だった。


プライベートな時間に無防備な寝顔を晒す霊幻を微笑ましく見守りながら、さていつ彼を起こすべきかと考える。実を言うとまだ食事も風呂も済ませていないのだ。
食材はあるし風呂だってすぐ沸かせるのだ。ただ、タイミングが分からない。
(今は……21時か……まだ電車がある…)
せっかくのビーズソファーも終電には勝てないかもしれない。今起こして大丈夫だろうか。茂夫は悩んだ。
しかし食事も入浴もしないのはいかがなものか。
霊幻が積極的ならば悩まず起こすだろう。しかし彼は理性がとても強いのだ。手強いのだ。
だからこそ、このチャンスを逃したくなかった。
(終電終わってから起こそうかな…)
それが一番安全だ。茂夫はタオルケットを取りに立ち上がった。


そっとタオルケットを霊幻にかけると、せっかくのチャンスだしと霊幻を間近でじっくり観察した。顔を半分ビーズソファーに押し付けているので部分的にしか見れないのは寂しいが、それでも嬉しかった。
ビーズソファーに埋まる師匠は可愛い。茂夫は飽きることなく眺めていた。
次第にビーズソファーに頭を乗せ、真向かいの霊幻を幸せそうに眺めていた茂夫。そんな幸せな一時は、突然目を開けた霊幻によって終了した。
至近距離で急に目を開けられ、茂夫は自分でも予想外に体が身を引いてしまい、勢いでひっくり返った。
「なにしてんだモブ。」
「し、師匠こそ……っ。」
心臓が恐怖で早鐘を打ち、少々息が乱れてしまう。
「…あれ、俺寝てたのか。悪い……えーっと……」
今何時?と訊いてくる霊幻に、チラリと時計を見た茂夫は、霊幻をビーズソファーに押し倒した。
「なんか、もう終電終わってるっぽいので、泊まっていっても良いですよ。」
冷や汗ダラダラな時点で嘘だなと気付いた霊幻だったが、起き上がろうにも背後の感触が気持ちよすぎて抵抗力がなくなっていく。次いで、茂夫の必死な妨害が可愛くて、しょうがねぇな…と、つい絆されてやることにする。
「このソファー本当にやばいな。抵抗出来なくなってくる…」
半分本当で半分は嘘だ。しかし茂夫は凄い…!と感動しているし、その顔が面白いやら可愛いやらで霊幻は吹き出してしまう。
「ほらモブ。お前も寝てみろ。」
のし掛かっている茂夫の背中に腕を回して横倒すと逃げると思ったのか茂夫が抱きついてくる。
そんな一生懸命な茂夫が可愛らしくて愛おしい。
「心配するなよ。終電が無いなら仕方がないな、今日は世話になるぞ。」
そう笑うと、茂夫は嬉しそうにしがみついて
「仕方ないですよね。ゆっくりしていってください。」
と霊幻を深く抱きしめ、ご満悦だった。





・人をダメにするソファーって言葉を知って勢いのまま妄想した。師匠がソファーでダメダメになっちゃったら可愛いなと思ったんだけど、微妙に違う場所に着地した感ある。
最初はビーズソファーにメロメロになって同棲に持ち込むつもりだったのに。
ビーズソファーの威力に感動したモブが密かにソファーを『師匠ホイホイ』と呼んでたりな。

パウダービーズは静電気が凄いらしいと知って何故か悲劇に遭うエクボを想像してしまいました。かわいそうでかわいい。


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